日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] 小中学校新教科書から読み解く自然災害教育の課題

2022年5月22日(日) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:岩田 真(広島県立大柿高等学校)、コンビーナ:飯田 和也(駒場東邦中学高等学校)、冨樫 民樹(埼玉県立春日部高等学校)、コンビーナ:今野 良祐(筑波大学附属坂戸高等学校)、座長:今野 良祐(筑波大学附属坂戸高等学校)、岩田 真(広島県立大柿高等学校)、冨樫 民樹(埼玉県立春日部高等学校)、宮嶋 敏(埼玉県立熊谷高等学校)、飯田 和也(駒場東邦中学高等学校)

10:10 〜 10:30

[O05-04] 小学校第5学年「流れる水の働きと土地の変化」における地域素材の教材化の重要性

★招待講演

*板山 圭輔

新学習指導要領では、小学校第5学年「流れる水の働きと土地の変化」の指導において、「自然災害についても触れること」という内容の取り扱いが追加された。本単元で学習する流水の三作用(侵食・運搬・堆積)と自然災害を結びつけて学習することは、理科の有用性を子どもたちに伝える上で非常に重要な指導内容であると考える。しかし、教科書に掲載されているような子どもたちとは縁もゆかりも無い地域の水害事例を中心に授業を進めてしまうと、小学校第5学年の子どもたちは、どうしても他人事として捉えてしまい、主体的学びの実現は難しい。そこで本実践では、子どもたちの生活する山梨県北杜市内で過去に起きた水害を教材化し、自然災害を自分事として捉えられるようにした。
 小学校第5学年の児童28名を対象とし実践を行った。山梨県北杜市は過去から現在に至るまで数多くの水害の被害を受けてきた歴史がある。事前アンケートの結果、「北杜市は洪水が起きやすい地域だと思いますか」という項目に対し、「どちらかというとあてはまらない・あてはまらない」と答えた児童が85%であった。子どもたちの防災意識を高めるため、単元の後半では、北杜市内において記録が残っている水害の中で最も大きな被害をもたらしたとされる「1959年台風7号による武川村での水害」を教材化した。まず、災害以前(1947年)の武川村の航空写真から当時の川の流路、川幅を把握させ、危険箇所を検討させた。そして、川の増水時の被害を軽減させるには、どのような対策ができるか既習事項を元に考察させた。その上で、現在武川村の河川に設置されている水害対策を提示し、子どもたちが考察した水害対策が実際に行われていることを確認した。また、当時の水害を経験した方をゲストティーチャーとして招聘し、体験談をお話いただき学びを深めた。