15:30 〜 17:00
[O08-P57] ターコイズフリンジの色彩に迫る~2021.11.19月食における本影境界付近のRVB光量分布~
キーワード:月食、ターコイズフリンジ
要旨
模様を消去した月食画像を測光することにより、RVBの測光結果からターコイズフリンジのRGB比の色彩を求めた。
1. はじめに
私たちは11月19日に起こった皆既月食をCMOSカメラとデジタル一眼カメラを用いて観測した。そして本影内のR,V,B光量分布について調べることにした。また、今回の月食では「タ―コイズフリンジ」という、太陽光が成層圏を通過するときに赤い光が吸収され、青い光だけが直進することにより、月面の縁が青く見える現象が本校でも観測された。このRとVとBの光量の関係を確認した。
2. 方法
場所:愛知県立一宮高校(愛知県一宮市北園通6-9)
機材:ZWO社ASI-290MM, R,V,Bフィルタ, タカハシFSQ-106(D:106㎜ f:530㎜), EM200赤道儀, Canon EOS RP EF200mmF2.8 2Xエクステンダー
観測日:2021年11月19日
測光:CMOSカメラの画像を1次処理し、画像の月の模様による明るさの変化を月食終了後の満月画像で割り算することで、月面の模様を消した。マカリで模様の消えた月面上の約20点を半径5で開口測光した(図1)。測光した点と本影の中心との角距離とObj平均を調べ、1秒露出に換算した上で、表計算ソフトでグラフ(散布図)を作成した。
3. 結果と考察
グラフ(散布図)は、横軸に本影中心からの角距離、縦軸(対数軸)にR,V,Bの1秒露出相当の明るさをとった。(図2)
グラフより、本影の内部では明るさが R>V>B となっており、赤い色であると分かる。これは、地球の大気を太陽光が通過する際青と緑の光がより散乱しながら進むことによる。しかし、VとBが本影の縁から半影にかけて(横軸43-47')の付近で急激に上がっていて、ターコイズフリンジが観測されたと思われる。
また、このグラフを元に、カメラやフィルタの感度特性を加味したうえで、37-55'の範囲で2’ずつ色を合成し、地球の影の模式図として表した。(図3)41'から内側の部分は赤みが強くなっており、実際の地球の影の色を再現できていると思われる。一方、一番外側の部分(55'付近)は、本来月の色である白色になるはずが、紫っぽい色になってしまっていて、見直しが必要である。
4. 今後の展望
今回使用したカメラは、IRカットフィルタがなく、赤外線まで感度を持っているため、肉眼では白く見えるものも赤色が強く示されてしまっている可能性があることが分かった。そのため今後はカラーチャートを撮影するなどして人間の目の感度特性も反映させる方法を考えてみたい。
5. 使用ソフト
すばる画像処理ソフト マカリ ステライメージver.6,8 ステラナビゲータver.11 Microsoft Excel 2019 ペイント
模様を消去した月食画像を測光することにより、RVBの測光結果からターコイズフリンジのRGB比の色彩を求めた。
1. はじめに
私たちは11月19日に起こった皆既月食をCMOSカメラとデジタル一眼カメラを用いて観測した。そして本影内のR,V,B光量分布について調べることにした。また、今回の月食では「タ―コイズフリンジ」という、太陽光が成層圏を通過するときに赤い光が吸収され、青い光だけが直進することにより、月面の縁が青く見える現象が本校でも観測された。このRとVとBの光量の関係を確認した。
2. 方法
場所:愛知県立一宮高校(愛知県一宮市北園通6-9)
機材:ZWO社ASI-290MM, R,V,Bフィルタ, タカハシFSQ-106(D:106㎜ f:530㎜), EM200赤道儀, Canon EOS RP EF200mmF2.8 2Xエクステンダー
観測日:2021年11月19日
測光:CMOSカメラの画像を1次処理し、画像の月の模様による明るさの変化を月食終了後の満月画像で割り算することで、月面の模様を消した。マカリで模様の消えた月面上の約20点を半径5で開口測光した(図1)。測光した点と本影の中心との角距離とObj平均を調べ、1秒露出に換算した上で、表計算ソフトでグラフ(散布図)を作成した。
3. 結果と考察
グラフ(散布図)は、横軸に本影中心からの角距離、縦軸(対数軸)にR,V,Bの1秒露出相当の明るさをとった。(図2)
グラフより、本影の内部では明るさが R>V>B となっており、赤い色であると分かる。これは、地球の大気を太陽光が通過する際青と緑の光がより散乱しながら進むことによる。しかし、VとBが本影の縁から半影にかけて(横軸43-47')の付近で急激に上がっていて、ターコイズフリンジが観測されたと思われる。
また、このグラフを元に、カメラやフィルタの感度特性を加味したうえで、37-55'の範囲で2’ずつ色を合成し、地球の影の模式図として表した。(図3)41'から内側の部分は赤みが強くなっており、実際の地球の影の色を再現できていると思われる。一方、一番外側の部分(55'付近)は、本来月の色である白色になるはずが、紫っぽい色になってしまっていて、見直しが必要である。
4. 今後の展望
今回使用したカメラは、IRカットフィルタがなく、赤外線まで感度を持っているため、肉眼では白く見えるものも赤色が強く示されてしまっている可能性があることが分かった。そのため今後はカラーチャートを撮影するなどして人間の目の感度特性も反映させる方法を考えてみたい。
5. 使用ソフト
すばる画像処理ソフト マカリ ステライメージver.6,8 ステラナビゲータver.11 Microsoft Excel 2019 ペイント