日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-08] 高校生ポスター発表O08-P61~P80

2022年5月29日(日) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (2) (Ch.02)

15:30 〜 17:00

[O08-P65] 海山模型の熱輸送能力の検証

*松井 勇樹1、*加藤 唯央1、*真船 倖輔1、*廣瀬 時人1、*山田 晃史1、井川 一美1 (1.神奈川県逗子開成高等学校)


キーワード:海洋

地球には深層循環という全球規模の循環がある。この循環は、まず表層の海水が北大西洋沖で沈降し、海洋深層を南下した後にインド洋や太平洋沖で湧昇する、という手順で駆動される。沈降する仕組みは主に氷河の形成による海水中塩分濃度に伴う密度増加であるが、湧昇する仕組みは未だ明らかにされておらず、研究が進められている。また、その駆動形態ゆえ深層循環は低緯度地域の熱を高緯度地域に輸送する役割を担っており、地球の気候調節機能の一翼を担う。そのため、深層循環の湧昇メカニズムを解明することは地球の気候調節機能を理解することにもつながり、昨今深刻化する環境問題を本質的に捉える上で鍵となり得る。

湧昇メカニズムについての先行研究によれば、月により引き起された潮汐流が海底の海山に衝突することで鉛直の乱流混合が生じる。それによって鉛直方向での熱輸送が行われ、深層水が温められることで浮力を得て湧昇する、というのが定説だ。そこで、我々はこれまで海山模型を水槽内に組み込んだ水理モデル実験を行い、海山が深層循環における湧昇において果たす役割について検証してきた。その一方で、モデルの再現性については解析手段が限られていたため定量的に議論しておらず、実験で得られた結果についての信憑性には疑問が残っていた。そのため、本研究では水温の変化と流速の変化から、モデルで得られた結果を実際の観測結果あるいは数値実験での結果と比較し、その類似点と相違点を議論することでモデルの再現性を検証した。

本校における深層循環についての研究は今年で7年目になる。当時中学3年生だった1期生の先輩方が学校行事で深層海流についての講義を聞き、興味を持って有志で研究グループを立ち上げたそうだ。4期生である僕たちも半数以上が中学2年生の時に参加した後、2期生の先輩方に手取り足取り教えてもらいながら、また大学の先生の助言も頂きながら研究を続けてきた。しかし気が付いたら高校3年生となり、今回が最後の学会発表となる。本学会では、これまでの研究で使用してきた水理モデルの再現性を議論するとともに、そこから見えてきた今後の課題を、次の代への方針を示す意味も込めて報告する。