日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG20] 宇宙における物質の形成と進化

2022年5月29日(日) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (5) (Ch.05)

コンビーナ:大坪 貴文(自然科学研究機構 国立天文台)、コンビーナ:野村 英子(国立天文台 科学研究部)、瀧川 晶(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、コンビーナ:荒川 創太(国立天文台)、座長:荒川 創太(国立天文台)


11:00 〜 13:00

[PCG20-P05] ICN+分子実験室分光測定によるハロゲン化シアンカチオンの星間吸収線プロファイルの推定

*荒木 光典1、伊藤 拓海1、星野 翔麻1、築山 光一1 (1.東京理科大学理学部第一部化学科)

キーワード:ICN+、星間吸収線、実験室分光

可視光領域では、星間のdiffuse cloud内の分子の電子遷移が吸収線として観測されている。これらはDiffuse Interstellar Bands と呼ばれ、現在その数は600本程度である。ところが、5本のバンドがC60+に同定されているだけで、それ例外は未同定である。宇宙空間にはシアンが豊富であり、一方ハロゲン元素が一定量存在する。さらに、diffuse cloudでは分子がイオン化されやすい。そこで、ハロゲン化シアンカチオンはDIBsの候補である。同定するためには、電子遷移の吸収波長だけでなく、吸収プロファイルの情報が必要である。それは可視光を吸収した際の分子構造変化の大きさによって決まる。ところが、ハロゲン化シアンカチオンの主要電子遷移であるΣ―Π遷移については、これまで分子構造変化の直接測定はされていない。今回、実験室におけるCavity Ring Down 分光法により、ハロゲン化シアンカチオンの一つであるICN+の分子構造変化の直接測定に成功した。そこから、ハロゲン化シアンカチオンの同遷移のプロファイルは、diffuse cloudの温度に依存しない左右対称の構造を持つことが明らかになった。これにより、DIBsの同定が可能になった。