日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM09] 宇宙天気・宇宙気候

2022年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:片岡 龍峰(国立極地研究所)、コンビーナ:Pulkkinen Antti A(NASA Goddard Space Flight Center)、坂口 歌織(情報通信研究機構)、コンビーナ:塩田 大幸(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、座長:塩田 大幸(国立研究開発法人 情報通信研究機構)、坂口 歌織(情報通信研究機構)

13:45 〜 14:00

[PEM09-13] Deep Flare Netによる太陽フレア予報運用と将来展望

*西塚 直人1、久保 勇樹1、杉浦 孔明2、田 光江1石井 守1 (1.国立研究開発法人 情報通信研究機構、2.慶應義塾大学)

キーワード:太陽フレア、宇宙天気予報、機械学習

宇宙天気や気象現象、生命現象などの複雑系は多様な現象の集合であり、素過程の解明だけで理解することは困難である。近年、多分野データを包括する手法で、かつ、データから法則や本質を導きだそうとする手法として機械学習が注目されている。我々は宇宙天気現象の源となる太陽フレアの予測手法として深層学習を用いた予測モデルDeep Flare Netを開発し、2019年から予報運用を行っている。2021年になってから太陽活動度は上昇し、Mクラス以上のフレア発生頻度も増加している。その中、Deep Flare Netの予測は、Mクラス以上フレア14例中13例の予測に成功した。これら予報結果は毎日行われる宇宙天気予報会議でも活用され、24時間体制での宇宙天気予報の効率化と精度向上にも貢献している。さらにDeFNで着目する黒点磁場の磁気中性線や磁気シアなどを可視化して予報会議で人間も目視で確認できるようにした。すると、DeFNで予報しそこなった1例については、M以上フレアを発生する活動領域にある磁気中性線には強い磁場勾配があるという仮説が1割ほどのイベントには当てはまらないなどの新たな特徴も明らかになってきた。最後に、太陽フレア予報運用は安定的に実施し精度も向上してきた今、次の将来展望を議論する。長年の課題であるSEP予報への拡張や電離圏嵐の予報、そして太陽活動の長期予報への発展への機械学習やAI活用の展開について議論したい。