日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM10] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

2022年5月26日(木) 15:30 〜 17:00 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐藤 由佳(日本工業大学)、コンビーナ:家田 章正(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、藤本 晶子(九州工業大学)、コンビーナ:今城 峻(京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター)、座長:田中 良昌(国立極地研究所)、北村 成寿(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)


16:30 〜 16:45

[PEM10-21] 観測パッケージPARM-HEPによる脈動オーロラに伴うマイクロバースト現象の観測

*滑川 拓1,2三谷 烈史1浅村 和史1三好 由純3細川 敬祐4小川 泰信5 (1.宇宙航空研究開発機構、2.東京大学、3.名古屋大学、4.電気通信大学、5.国立極地研究所)

キーワード:microburst、pulsating aurora、sounding rocket

マイクロバーストと呼ばれる放射線帯の数100keV~数MeVの電子が1秒以下の時間スケールで大量に降り込む現象は、放射線帯の高エネルギー電子の散逸に大きく関連していると考えられている [e.g. Thorne et al., 2005; Clilverd et al., 2006; Dietrich et al., 2010; Lorentzen et al., 2001]。マイクロバーストを引き起こす原因として、磁気赤道面からより高磁気緯度に向けて伝播するホイッスラーモードコーラス波による放射線帯粒子のピッチ角散乱によって発生することが示唆されているが、いまだ観測的な実証はされていない [Horne & Thorne, 2003; Kennel & Petscheck, 1966; Miyoshi et al., 2020]。
検討されているマイクロバーストの発生メカニズムは、地球極域で観測される脈動オーロラの発生メカニズムと類似のものであり、マイクロバーストと脈動オーロラの同時発生の観測的実証を行うことで、マイクロバーストの起源に迫ることができる。そのため私たちはマイクロバーストと脈動オーロラの同時観測を目的とする観測パッケージPARMの中心的機器となる高エネルギー電子観測器(HEP)を開発した。本機器の最初のモデルは国際学生観測ロケットRockSat-XNに搭載され、2019年1月13日9時13分UTに地磁気静穏時の昼側(MLT = 12.4)で打ちあげられた。このため脈動オーロラとの同時観測および顕著なマイクロバーストの検出はできなかったが、静穏時昼側磁気圏におけるホイッスラー波に由来する可能性がある準相対論的エネルギー電子のエネルギースペクトルを観測した [Namekawa et al., 2021]。さらに私たちはHEPの改良版モデルをLAMP(Loss through Auroral Microburst Pulsation)観測ロケット実験に搭載した。このモデルには銀河宇宙線などの貫通粒子の影響を除くための反同時計数部を搭載するなどの改良が施されている。本発表では、HEPの概要とRockSat-XNおよびLAMPの観測結果について説明する。