日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG44] Science of slow-to-fast earthquakes

2022年5月26日(木) 15:30 〜 17:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、コンビーナ:田中 愛幸(東京大学理学系研究科)、山口 飛鳥(東京大学大気海洋研究所)、コンビーナ:波多野 恭弘(大阪大学理学研究科)、座長:波多野 恭弘(大阪大学理学研究科)、望月 公廣(東京大学地震研究所 地震予知研究センター)

16:30 〜 16:45

[SCG44-11] 階層パッチ構造をもつ動的破壊シミュレーションを用いた地震の震源パラメータのスケーリング則の検証

*増田 和貴1金子 善宏1 (1.京都大学)

キーワード:動的破壊、階層パッチ構造、スケーリング則

地震破壊の成長過程とそれに伴う地震波の放射を理解することは、地震災害や減災のために重要である。震源パラメータのスケーリング則は地震破壊の成長過程を制約するのに使われるが、そのスケーリング則の成り立ちが摩擦則の特性に起因するのか、物性の不均質性に起因するのかどうかは明らかでない。本研究では、すべり弱化摩擦則に基づき、破壊エネルギーGcの階層構造を取り入れた断層上の自発的な動的破壊モデルが、地震の震源パラメータに関するいくつかのスケーリング則を説明できるという仮説を検証する。このシミュレーションはスペクトル要素法で行われており、Aochi and Ide (2003)によって提案された効率的な計算手法を取り入れている。まず、破壊エネルギーGcの階層的なパッチで特徴づけられた一次元断層上で、幅広いマグニチュード(M2からM6)の地震のシミュレーションを行った。次に、計算した地震の震源パラメータに関する様々なスケーリング則(地震モーメントと震源継続時間、マグニチュードと発生頻度の関係、モーメントの成長と時間、破壊エネルギーと地震性すべりなど)を定量化した。そして、モデルパラメータの値を変化させたときにこれらのスケーリング則がどのように変化するかを分析した。予備的な結果として、今回調べたモデルパラメータのうち、S値がスケーリング則のトレンドに大きな影響を与えており、スケーリング則がモデルパラメータの取りうる値の範囲を限定することが示唆された。今回得られたスケーリング則に影響を与える重要なモデルパラメータを特定し、このモデルを2次元断層に拡張するための取り組みを報告する。