15:30 〜 15:45
[SCG55-01] データ同化手法を用いた Hunga Tonga - Hunga Ha’apai 火山噴火による津波の即時予測
キーワード:津波、トンガ噴火、データ同化
2022年1月15日13時過ぎ(日本時間)トンガ諸島付近のHunga Tonga – Hunga Ha’apai 火山が噴火したことに伴って,津波が発生した.火山性津波の発生メカニズムは山体崩壊による土砂の海面への流入や,海底の地すべり,カルデラの陥没などが知られている[Paris et al. (2014)].このような津波はいわゆる海洋重力波として伝播するため線形長波近似でき,その位相速度は水深の平方根に比例するため,比較的容易に到達走時を予測することが出来る.しかし,この津波が日本海溝海底地震津波観測網(S-net)等で観測された時刻は,海洋重力波から想定される到達時刻よりも圧倒的に早く,一方,陸域に設置された気圧計で捉えられた気圧波とほぼ同時に到達していることから,火山噴火に伴う衝撃波によって気圧波が生じ,その気圧が海面と相互作用することで津波が生じたものと考えられている[https://quaketm.bosai.go.jp/news/20220115/].
現在の気象庁による津波警報・注意報や,多くの津波即時予測の研究は地震によって生じた津波を対象としているため,火山噴火に伴う気圧波による津波に対応することは非常に困難である.一方,2016年に運用が開始されたS-netのような稠密な海域観測網を用いることで,データ同化の手法を適用すれば,津波の即時予測が可能であることがMaeda et al. (2015)によって示されていた.
本講演では,Maeda et al. (2015)によって提案されたTDAC(https://github.com/tktmyd/tdac.git)をS-netによって得られた水圧データに常時適用した場合に,東日本の沿岸に津波が襲来しうることが予め予測し得たことを示す.しかし,今般の津波は大気圧の変化も伴っているため,S-netのような海底圧力計が観測できるのは大気圧と海水圧を含んだトータルの圧力であることには留意が必要である.また,データ同化手法を常時適用すると,ノイズシグナルも津波として同化してしまうため,沿岸域に常に波が常時生じてしまう.このような課題も整理する.
本研究の一部は,JSPS科研費JP18K04674及びJP21K21353の助成を受けたものです.また,使用した地形データGlobal tsunami Terrain Model (GtTM https://doi.org/10.17598/NIED.0021)は,公益財団法人日立財団倉田奨励金(奨励金No.1400)の助成を受けて作成したものです.
現在の気象庁による津波警報・注意報や,多くの津波即時予測の研究は地震によって生じた津波を対象としているため,火山噴火に伴う気圧波による津波に対応することは非常に困難である.一方,2016年に運用が開始されたS-netのような稠密な海域観測網を用いることで,データ同化の手法を適用すれば,津波の即時予測が可能であることがMaeda et al. (2015)によって示されていた.
本講演では,Maeda et al. (2015)によって提案されたTDAC(https://github.com/tktmyd/tdac.git)をS-netによって得られた水圧データに常時適用した場合に,東日本の沿岸に津波が襲来しうることが予め予測し得たことを示す.しかし,今般の津波は大気圧の変化も伴っているため,S-netのような海底圧力計が観測できるのは大気圧と海水圧を含んだトータルの圧力であることには留意が必要である.また,データ同化手法を常時適用すると,ノイズシグナルも津波として同化してしまうため,沿岸域に常に波が常時生じてしまう.このような課題も整理する.
本研究の一部は,JSPS科研費JP18K04674及びJP21K21353の助成を受けたものです.また,使用した地形データGlobal tsunami Terrain Model (GtTM https://doi.org/10.17598/NIED.0021)は,公益財団法人日立財団倉田奨励金(奨励金No.1400)の助成を受けて作成したものです.