日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM15] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2022年5月22日(日) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (IC) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐藤 哲郎(東京大学地震研究所)、コンビーナ:吉村 由多加(九州大学大学院比較社会文化研究院)、座長:吉村 由多加(九州大学大学院比較社会文化研究院)、穴井 千里(高知大学海洋コア総合研究センター)

12:00 〜 12:15

[SEM15-11] 粘性残留磁気を利用した安達太良火山ラハール堆積物の定置年代

池田 暁1、*中村 教博2佐藤 哲郎3 (1.東北大学 理学研究科地学専攻、2.東北大学高度教養教育・学生支援機構、3.東京大学 地震研究所)

キーワード:粘性残留磁気年代、ラハール、ストレッチド指数関数磁気緩和

粘性残留磁気をもちいた年代推定は,放射性炭素年代が直接利用できない巨礫の定置年代を決めるときに,宇宙線照射年代と同様に有効である。これまで放射性炭素年代で推定されている巨礫の定置年代と比較すると,粘性残留磁気を用いた年代は古くなることが多かった。これを解消するためには,粘性残留磁気年代と同じ試料の磁気の緩和度合いを拡張型指数関数でフィッティングし,そのフィッティングに合わせてブロッキング温度ー時間換算を修正する必要がある。今回,福島県安達太良山西麓に分布するラハール堆積物(火山性泥流堆積物)中の安山岩巨礫に着目し,上記の修正型粘性残留磁気年代法を適用し,ラハールの発生時期を決定することを試みた。本地域のラハール堆積物は過去14000年間に18回のラハールが発生し,ほとんどは堆積物中の木材から放射性炭素年代が推定されているものの,最上位のラハール堆積物は木材の混入が極めて少なく,年代が推定されていない。そこで,まずは14C年代が得られているラハール中の巨礫の年代を粘性残留磁気で年代を推定し,さらに拡張型指数関数で補正した結果,14C年代とほぼ同じ年代を推定できた。その後,年代が推定されていない巨礫について,拡張型指数関数で年代を補正した結果,約500年前にラハールが発生したことが判明した。したがって,古い年代を示す巨礫については,同一試料から拡張型指数関数を求めて,粘性残留磁気年代を補正することが必要であることが判明した。