日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GC 固体地球化学

[S-GC36] 固体地球化学・惑星化学

2022年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:下田 玄(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、コンビーナ:鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、山下 勝行(岡山大学大学院自然科学研究科)、座長:鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、山下 勝行(岡山大学大学院自然科学研究科)、石川 晃(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、下田 玄(産業技術総合研究所地質調査総合センター)

14:45 〜 15:00

[SGC36-05] 無水および含水条件下でのポストスピネル相転移における鉄の影響

*鳥越 玲衣1井上 徹1、篠田 由梨、川添 貴章1野田 昌道1、上野 恭史1 (1.広島大学)

キーワード:ポストスピネル相転移、660km不連続面、鉄の影響、水の影響

地球内部には地震波速度不連続面があることが知られている。マントル遷移層における地震波速度不連続面はカンラン石の相転移で説明することができる。なかでも660 km不連続面はringwoodite (Rw) がbridgmanite (Brg) とferro-periclase (fPc) に分解相転移するポストスピネル相転移によるものだと考えられている。そして660 km不連続面は場所によって深さが異なることが知られている。最近、マントル遷移層に水がある証拠としてダイヤモンド包有物中の含水Rwが発見され、1.4-1.5wt%の水を含んでいることが明らかとなった。したがって水の影響について考える必要がでてきた。Mg2SiO4-H2O系の先行研究により相転移圧力が高圧側にシフトすることが報告されている (Higo et al., 2001)。また、第一原理計算からも水の影響によって相転移が高圧側にシフトすることがわかっている(Muir et al., 2021)。しかしMg2SiO4-Fe2SiO4二成分系で水の影響を明らかにした研究はない。加えて最近、今までの相転移ループとかなり異なる(Mg,Fe)2SiO4系ポストスピネル相転移の相図が提示された (Ishii et al., 2019)。このことから本研究では無水および含水条件下でのポストスピネル相転移における鉄の影響を明らかにすることを研究目的とし、高温高圧実験を行った。その結果(Mg,Fe)2SiO系においてRwとBrg+fPcの含鉄量を調べることにより、Fe量の増加に伴って相転移圧力が低くなる共存ループを形成することが明らかとなった。