11:00 〜 13:00
[SGL24-P05] 西南日本秩父帯に産する蛇紋岩の定置時期の制約
キーワード:蛇紋岩、定置、秩父帯
【はじめに】 蛇紋岩は,沈み込み帯の形成史を語るうえで重要な岩石である(磯崎ほか,2010).その中でも,テクトニックな背景を地質学的に制約することが重要であり,定置時期の制約は,重要度の高い課題であるといえる.しかし,蛇紋岩の定置時期に関しては,多様な見解があり,その統一性はないため,地質学的なさらなる検討が必要である(平内ほか,2006など).それを踏まえて,本研究は,蛇紋岩の定置時期を制約することを目的とし,高知県高岡梼原町,越知面~横貝地域において,地質調査を軸に研究を行った.
【地質概要】 本調査地域は,北域からペルム紀付加体である大野ヶ原ユニット,トリアス紀変成岩類である四万川ユニット,中央域に白亜紀堆積岩類,田野々断層を挟みジュラ紀付加体である大平山ユニットとその南域にジュラ紀堆積岩類の鳥巣層群が分布する.このうち,蛇紋岩は,大野ヶ原ユニットの南限断層付近,四万川ユニットの中央部,白亜紀堆積岩類の境界部に位置する.
【結果】 本地域の蛇紋岩は,異地性ブロックを含むタイプAと,それらを含まないタイプBに分類される.タイプAは,東側蛇紋岩体と田野々断層沿いの蛇紋岩である(fig. 1).タイプAの一部である東側蛇紋岩体は,大野ヶ原ユニットの緑色岩やチャートの一部と同調した分布を示す.また,蛇紋岩のマトリックス中に単斜輝石岩,かんらん石輝石岩,結晶片岩,かんらん岩のブロックを含む.タイプBは,西側蛇紋岩体と四万川ユニット中の蛇紋岩,白亜紀堆積岩類北限・南限断層に沿って分布する蛇紋岩が対象である(fig. 1).西側蛇紋岩体では蛇紋岩のフロー構造が一部みられ,薄片下でバスタイトを含むことが特徴である.また,蛇紋岩の複合面構造がTop-to-the-Southの剪断センス成分を持つ.
これらに加えて,タイプAに属する東側蛇紋岩体付近で,蛇紋岩礫を含む泥質砕屑岩の露頭を観察した.露頭位置は,太田戸川中流付近の白亜紀堆積岩類中に分布する(fig. 1).黒色の基質であり,蛇紋岩岩片および円礫を含むことが特徴である.露頭位置は白亜紀堆積岩類中であるが,黒色の泥質基質を持つ特徴から,白亜紀堆積岩類との違いを確認した.
【考察】 タイプAの蛇紋岩は,異地性ブロックを含むという点などより,古期岩類とされている黒瀬川帯体に産する蛇紋岩(Maruyama, 1981など)と対比できる可能性を示唆する.対して,タイプBは,異地性ブロックを含まないという点などより,前期白亜紀の四万十帯中に併入する蛇紋岩(斎藤ほか,2009など)と対比できる可能性を示唆する.
蛇紋岩の定置時期は,タイプBの蛇紋岩が,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアンの年代を示す横貝層(香西ほか,1991,甲藤ほか1994)に沿って分布することから,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアン以降の定置であると考えられる.また,タイプAの一部はデュープレックス構造を形成していると考えられ,そのデュープレックス構造が白亜紀堆積岩類およびタイプBの蛇紋岩を切っていることより,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアン以降およびタイプBの定置以降の定置時期であると考えられる.このことは,タイプBの定置時期が,このデュープレックス構造形成以前に制約される可能性を示唆する.さらに,本地域で発見した蛇紋岩礫を含む泥質砕屑岩は,タイプAの蛇紋岩を制約する要素になりうると考えられる.
【地質概要】 本調査地域は,北域からペルム紀付加体である大野ヶ原ユニット,トリアス紀変成岩類である四万川ユニット,中央域に白亜紀堆積岩類,田野々断層を挟みジュラ紀付加体である大平山ユニットとその南域にジュラ紀堆積岩類の鳥巣層群が分布する.このうち,蛇紋岩は,大野ヶ原ユニットの南限断層付近,四万川ユニットの中央部,白亜紀堆積岩類の境界部に位置する.
【結果】 本地域の蛇紋岩は,異地性ブロックを含むタイプAと,それらを含まないタイプBに分類される.タイプAは,東側蛇紋岩体と田野々断層沿いの蛇紋岩である(fig. 1).タイプAの一部である東側蛇紋岩体は,大野ヶ原ユニットの緑色岩やチャートの一部と同調した分布を示す.また,蛇紋岩のマトリックス中に単斜輝石岩,かんらん石輝石岩,結晶片岩,かんらん岩のブロックを含む.タイプBは,西側蛇紋岩体と四万川ユニット中の蛇紋岩,白亜紀堆積岩類北限・南限断層に沿って分布する蛇紋岩が対象である(fig. 1).西側蛇紋岩体では蛇紋岩のフロー構造が一部みられ,薄片下でバスタイトを含むことが特徴である.また,蛇紋岩の複合面構造がTop-to-the-Southの剪断センス成分を持つ.
これらに加えて,タイプAに属する東側蛇紋岩体付近で,蛇紋岩礫を含む泥質砕屑岩の露頭を観察した.露頭位置は,太田戸川中流付近の白亜紀堆積岩類中に分布する(fig. 1).黒色の基質であり,蛇紋岩岩片および円礫を含むことが特徴である.露頭位置は白亜紀堆積岩類中であるが,黒色の泥質基質を持つ特徴から,白亜紀堆積岩類との違いを確認した.
【考察】 タイプAの蛇紋岩は,異地性ブロックを含むという点などより,古期岩類とされている黒瀬川帯体に産する蛇紋岩(Maruyama, 1981など)と対比できる可能性を示唆する.対して,タイプBは,異地性ブロックを含まないという点などより,前期白亜紀の四万十帯中に併入する蛇紋岩(斎藤ほか,2009など)と対比できる可能性を示唆する.
蛇紋岩の定置時期は,タイプBの蛇紋岩が,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアンの年代を示す横貝層(香西ほか,1991,甲藤ほか1994)に沿って分布することから,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアン以降の定置であると考えられる.また,タイプAの一部はデュープレックス構造を形成していると考えられ,そのデュープレックス構造が白亜紀堆積岩類およびタイプBの蛇紋岩を切っていることより,後期白亜紀セノマニアン~チューロニアン以降およびタイプBの定置以降の定置時期であると考えられる.このことは,タイプBの定置時期が,このデュープレックス構造形成以前に制約される可能性を示唆する.さらに,本地域で発見した蛇紋岩礫を含む泥質砕屑岩は,タイプAの蛇紋岩を制約する要素になりうると考えられる.