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[SVC32-P13] 7.3ka鬼界カルデラ噴火におけるプリニー式噴火フェーズ
キーワード:鬼界カルデラ、プリニー式噴火、カルデラ形成
鬼界カルデラは九州南方沖に位置し、現在はそのほとんどが海面下に存在する。7.3kaにこのカルデラで発生した大規模噴火は日本列島における完新世最大の噴火であり、Low aspect ratio ignimbriteとして知られる幸屋火砕流堆積物(K-Ky)の形成や津波の発生など多くの特徴的現象がこれまでに報告されている。この噴火では、噴火のクライマックスにあたる幸屋火砕流の噴出やカルデラ形成に先行してプリニー式噴火(幸屋降下軽石、K-KyP)やイントラプリニアン火砕流(船倉火砕流、K-Fn)が存在し、これらの定量的な把握は7.3ka噴火全体の推移やメカニズムを解明する上で不可欠である。しかしながら、幸屋火砕流に先行するフェーズに関しては、その推移や噴火パラメータに関する研究が十分すすんでいない。
本研究では、このうちプリニー式噴火フェーズに着目して、降下火砕物の野外調査などに基づき、噴出量をはじめとする噴火パラメータの再評価や噴火推移の精密な把握を試みた。その結果、プリニー式噴火による降下火砕堆積物は2つのユニットに大別され、それらの間には火道の拡大に伴うと考えられる異質岩片濃集層が確認された。また、定常1次元モデルに基づき、その噴出率は初期で7.1×107-1.7×108kg/s、後期では4.7-8.2×108kg/sと見積もられた。噴出量についても再検討をおこなったところ、このフェーズにおける見かけ噴出量は5-11km3程度となり、従来の推定噴出量よりもかなり少なくなることが分かった。これをもとに理論的モデルによってカルデラ形成の可能性を評価したところ、プリニー式噴火フェーズによるマグマ放出量のみではcoherentなカルデラ形成を起こすことは難しいことが示された。カルデラ形成の開始が、7.3ka噴火による噴出量の大部分を占める幸屋火砕流やそのco-ignimbrite ashであるアカホヤ火山灰の噴出に先立つことを考慮すると、イントラプリニアン火砕流などによるマグマ放出量がカルデラ形成に大きな影響を及ぼしている可能性、incoherentなカルデラ形成の可能性などが考えられる。
本研究では、このうちプリニー式噴火フェーズに着目して、降下火砕物の野外調査などに基づき、噴出量をはじめとする噴火パラメータの再評価や噴火推移の精密な把握を試みた。その結果、プリニー式噴火による降下火砕堆積物は2つのユニットに大別され、それらの間には火道の拡大に伴うと考えられる異質岩片濃集層が確認された。また、定常1次元モデルに基づき、その噴出率は初期で7.1×107-1.7×108kg/s、後期では4.7-8.2×108kg/sと見積もられた。噴出量についても再検討をおこなったところ、このフェーズにおける見かけ噴出量は5-11km3程度となり、従来の推定噴出量よりもかなり少なくなることが分かった。これをもとに理論的モデルによってカルデラ形成の可能性を評価したところ、プリニー式噴火フェーズによるマグマ放出量のみではcoherentなカルデラ形成を起こすことは難しいことが示された。カルデラ形成の開始が、7.3ka噴火による噴出量の大部分を占める幸屋火砕流やそのco-ignimbrite ashであるアカホヤ火山灰の噴出に先立つことを考慮すると、イントラプリニアン火砕流などによるマグマ放出量がカルデラ形成に大きな影響を及ぼしている可能性、incoherentなカルデラ形成の可能性などが考えられる。