日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-08] 地球惑星科学の進むべき道11:地球惑星科学分野の大型研究計画

2022年5月23日(月) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:中村 卓司(国立極地研究所)、コンビーナ:田近 英一(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、コンビーナ:高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)

15:53 〜 16:15

[U08-13] 地球の環境事変にレジリエントな地域の形成

*山野 博哉1石井 励一郎2松多 信尚3長谷川 直子4小口 高5鈴木 康弘6 (1.国立環境研究所、2.総合地球環境学研究所、3.岡山大学、4.お茶の水女子大学、5.東京大学、6.名古屋大学)

キーワード:地球環境事変、地域レジリエンス、ハザード、暴露、脆弱性

日本学術会議報告「地球惑星科学分野における科学・夢ロードマップ(改訂)2020」において、地球人間圏科学の研究者は、21世紀前半の我が国における地球人間圏科学の最大の課題を、「持続可能な日本、アジア、世界の実現への貢献」と規定し、その達成度を地域・社会のサステナビリティ及び知識・情報の質・量・モビリティ等で決まる広い意味でのサイエンスレベルの向上により実現するという道筋を描いた。
 近年は、地震、火山噴火に伴う災害に加えて、気候変動による影響が顕在化しており、気候変動がもたらす災害が激甚化している。こうした地圏・水圏・大気圏での事象に起因する環境事変がもたらすハザードに対して、地域・社会の持続性を担保するためには地域資源を活用した対策が必要である。本研究では、具体的に以下のアプローチを検討し、地球の環境事変にレジリエントな地域の形成を目指す。
・各種ハザードに対して、人口・土地利用等地理情報を活用した地域での曝露、地形など自然環境に加え人口減少を含む人文・社会的視点を統合した地域の脆弱性の評価に基づく統合リスク評価を行い、将来に関するシナリオ分析を行う。
・その上で、流域治水における生態系の活用など、地域の資源を活用した現在〜将来のハザードの影響低減策、過度な外部依存性を緩和するエネルギーや水・食糧需給システム等の自立分散化とネットワーク化に関して、地理・環境や人間行動に関するビッグデータによる投入適地や可能性の検討を行う。
・さらに、考えられる各種対策のコンフリクトの解消、シナジー効果の創出を行い、社会の受容可能性を高める。
 本研究は、夢ロードマップの2030年頃までに達成すべき以下の活動の2)から5)に合致し、さらにその成果は1)につながるものである。
1) 地球・人間圏科学研究教育。情報ネットワーク充実:市民参加モニタリングネットワーク、グッドプラクティス発掘と推進、社会との協働・協創。
2) 陸域持続可能性研究の充実:LUCC、土地・資源・エネルギー、都市・農村、水環境、環境保全、生態系保全、統合モデル研究、地球情報の充実。
3) 沿岸・縁辺海域・海洋持続可能性研究の推進:陸域-縁辺海域システム、沿岸・縁辺海域利用、環境保全、生態系保全、海洋資源、汚染の浄化。
4) 災害リスク統合研究の充実:気候変化影響、地震・津波、洪水、地形災害、火山災害等、旱魃・ゾド、学際領域での災害原因究明、データ統合、リスクの人間社会的側面、災害レジリエンス、社会連携。
5) 地球情報・地理空間情報の整備・公開・可視化:地球人間圏の観測・モニタリング・予測、GIS、RS、オープンデータ、ビッグデータ、消えゆくデータの保全。