10:00 〜 10:15
[AAS07-05] 大気環境静止衛星GEMS:オゾン、NO2, ホルムアルデヒドversion 1.0データの検証と最新状況
キーワード:大気化学、静止衛星、大気質、検証
2020年2月に打ち上げられた韓国の静止環境監視分光計(GEMS)は、史上初めて、1時間単位での衛星からの大気環境モニタリングを開始した(Kim et al., 2020)。 GEMSミッションでは、計測器の特性評価とアルゴリズムの開発ののちに、2021年1月から公式プロダクトバージョン1.0のデータが検証チームに提供された。我々もGnGval検証チームを結成し、その提供を受けた。ここでは、2022年8~9月までのデータを用いた、オゾン全量、NO2・ホルムアルデヒド(HCHO)全カラム濃度のバージョン1.0レベル2(L2)プロダクトの検証結果と、改良版バージョン2データの最新状況について紹介する。検証は、横須賀、福江、辺戸岬、Yongin、光州のMAX-DOASネットワーク観測と横須賀のPandora分光計観測を基準として行った。NO2とHCHOの両方について、MAX-DOASとPandoraから得られた対流圏鉛直カラム濃度間には強い相関があり(R > 0.89)、22%以内で一致した。都市部のGEMSによるNO2全鉛直カラム濃度は、MAX-DOASおよびPandoraの対流圏カラム濃度と高い相関(横須賀でR〜0.8)を示したが、成層圏のNO2量では説明できない正の切片(〜10×1015分子cm-2)があった。福江と辺戸岬では、この相関は弱かった。これは、バージョン1.0のNO2導出で想定された先験的なプロファイルが妥当でなかったためと思われ、バージョン2のプロダクトで改善が期待される。GEMSのHCHOカラム濃度は、横須賀のMAX-DOASおよびPandoraに対し、相関は弱かったが(R〜0.33〜0.35)、レベルは基本的に一致した。オゾン全量については、GEMS v1.0は横須賀のPandoraと高い相関(R2=0.94)を示したものの、小さい負バイアス(~6%以下)があり、回帰直線の傾きは0.91であった。負バイアスは季節や時間帯に共通した太陽天頂角依存性があることがわかり、今後のバージョンアップの改善に注視すべきである。
Kim, J. et al. (2020). New Era of Air Quality Monitoring from Space: Geostationary Environment Monitoring Spectrometer (GEMS), Bull. Amer. Meteorol. Soc., 101(1), E1-E22, https://doi.org/10.1175/BAMS-D-18-0013.1
Kim, J. et al. (2020). New Era of Air Quality Monitoring from Space: Geostationary Environment Monitoring Spectrometer (GEMS), Bull. Amer. Meteorol. Soc., 101(1), E1-E22, https://doi.org/10.1175/BAMS-D-18-0013.1