10:45 〜 12:15
[AAS09-P02] 寒波発生時の成層圏における波束の伝播の統計的特徴
★招待講演
キーワード:成層圏、プラネタリー波、波の活動度フラックス、寒波
プラネタリー波は、成層圏から対流圏へと下方伝播し、対流圏循環を変化させて、寒波の発生に寄与することがある(Kodera et al., 2008; Matthias and Kretchmer, 2020)。松山(2023)は、大規模アンサンブルデータd4PDF(Mizuta et al., 2017)を用いて、北半球冬季における、波束の下方伝播の統計解析を行い、下方伝播の特徴によって、寒波の発生場所が異なる可能性を示した。本研究では、逆に寒波事例を抽出し、その時の波束の伝播を調べることで、下方伝播事例の寒波発生への寄与の実態を明らかにすることを目的とした。用いたデータはd4PDF(緯度経度2.5度の水平分解能)で、波束の伝播の指標としてPlumb (1985)の波の活動度フラックス(WAF)を用いた。解析期間は過去実験の12月から3月とした。
寒波事例は、北米上空(112.5°Wから45°W、40°Nから70°N)と、北欧上空(22.5°Eから67.5°E、40°Nから70°N)で領域平均した500 hPa面の気温の気候値偏差を求め、それぞれの領域に設定した閾値を下回る負の極大となる日を”事例日”として抽出した。その結果、北米では1451事例、北欧では1868事例を抽出した。これは、5年に1度程度の生起頻度である。
30hPa面で、経度ごとに50°Nから80°Nで平均したWAFの鉛直成分(WAFz)に基づいて、下方伝播の寒波発生への寄与を判断した。寒波事例のうち、事例日から事例日より6日前において、WAFzが閾値以下の負のピークを持つ事例を抽出した。その結果、北米の寒波事例の約30%、北欧の寒波事例の約22%で下方伝播が生じていることがわかった。
次に、上記の事例の合成図解析を行った。北米の寒波事例時は、120°Wに下方伝播のピークがあり、西半球全体で下方伝播が発生していた。その下方伝播と同時に、成層圏から対流圏への低気圧偏差の引き込みが北米上空で起きていた。北欧の寒波事例時は、45°Wに下方伝播のピークがあり、下方伝播の経度領域の幅は約90度だった。ヨーロッパの寒波事例では、寒波発生域から約100度西方で下方伝播した後、波束が水平伝播していた。
寒波事例は、北米上空(112.5°Wから45°W、40°Nから70°N)と、北欧上空(22.5°Eから67.5°E、40°Nから70°N)で領域平均した500 hPa面の気温の気候値偏差を求め、それぞれの領域に設定した閾値を下回る負の極大となる日を”事例日”として抽出した。その結果、北米では1451事例、北欧では1868事例を抽出した。これは、5年に1度程度の生起頻度である。
30hPa面で、経度ごとに50°Nから80°Nで平均したWAFの鉛直成分(WAFz)に基づいて、下方伝播の寒波発生への寄与を判断した。寒波事例のうち、事例日から事例日より6日前において、WAFzが閾値以下の負のピークを持つ事例を抽出した。その結果、北米の寒波事例の約30%、北欧の寒波事例の約22%で下方伝播が生じていることがわかった。
次に、上記の事例の合成図解析を行った。北米の寒波事例時は、120°Wに下方伝播のピークがあり、西半球全体で下方伝播が発生していた。その下方伝播と同時に、成層圏から対流圏への低気圧偏差の引き込みが北米上空で起きていた。北欧の寒波事例時は、45°Wに下方伝播のピークがあり、下方伝播の経度領域の幅は約90度だった。ヨーロッパの寒波事例では、寒波発生域から約100度西方で下方伝播した後、波束が水平伝播していた。