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[ACC26-04] ドームふじ深部の層構造と変形様式ー最古級の氷に至る氷床物理層構造の解明ー
キーワード:ドームふじアイスコア、層構造、変形様式
南極やグリーンランド氷床の内部は結晶組織の発達とあわせて層構造を形成している。氷床表層から中層にかけての層構造はアイスコアの解析や氷床レーダー探査によって精力的に調査されてきたが、氷床深部の層構造や氷の状態については情報が少なく詳しい層構造についてはわかっていない。現存する深層コアを用いて氷床深部の層構造や氷の状態を把握することは、次期深層コア掘削で獲得を目指す「最古級の氷」の理解のためにも重要なテーマである。ドームふじ周辺で行われた氷床レーダー探査やアイスコア解析などから、氷床深部において層位の傾斜があること、深いほど氷温が高くなり基盤付近で融解が起きていることが明らかになっている。氷床浅部では氷床氷の変形様式は一軸圧縮で進むため比較的単純であるが、基盤地形の影響も受ける深部ではこれらの性質もあわせて複雑な変形様式になっている可能性が高い。氷床氷の物理特性においてファブリック(c軸集中度)は特に重要なパラメータであり、氷床流動や変形様式に強く影響する。ドームふじアイスコアの2400mまでのファブリックの層構造については筆者らのグループによって詳しく調べられており、1)温暖期(間氷期〜氷期はじめ)にc軸集中度が弱くなること、2)ファブリックの変動に塩化物イオン濃度とダスト濃度が影響している可能性が高いことが明らかになっている。
本研究では氷床深部の層構造と変形様式を明らかにするため、第2期ドームふじアイスコア2400m以深に対して種々の物理解析を行った。ファブリックの指標となる誘電異方性の計測と氷薄片を用いた結晶組織観察から2400m付近を境にファブリックの発達が大きく変化することが明らかになった。誘電異方性は氷床表面から2400m深までゆらぎながら増加していったが、2400m付近から急激な減少傾向に転じた。また2700mより深部ではダストが高濃度に含まれる層のファブリック変化が浅部と異なる傾向を示した。浅部においてはダストが高濃度に含まれる領域で誘電異方性が減少していたのに対し、深部ではこの傾向が逆転し誘電異方性が増加した。これらの結果は深部変形様式が氷床浅部とは異なっていることを示している。本発表では種々の物理解析によって得られたデータを元に氷床深部の層構造発達と変形様式を基盤地形の影響も含めて包括的に議論する。
本研究では氷床深部の層構造と変形様式を明らかにするため、第2期ドームふじアイスコア2400m以深に対して種々の物理解析を行った。ファブリックの指標となる誘電異方性の計測と氷薄片を用いた結晶組織観察から2400m付近を境にファブリックの発達が大きく変化することが明らかになった。誘電異方性は氷床表面から2400m深までゆらぎながら増加していったが、2400m付近から急激な減少傾向に転じた。また2700mより深部ではダストが高濃度に含まれる層のファブリック変化が浅部と異なる傾向を示した。浅部においてはダストが高濃度に含まれる領域で誘電異方性が減少していたのに対し、深部ではこの傾向が逆転し誘電異方性が増加した。これらの結果は深部変形様式が氷床浅部とは異なっていることを示している。本発表では種々の物理解析によって得られたデータを元に氷床深部の層構造発達と変形様式を基盤地形の影響も含めて包括的に議論する。