日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG30] 中緯度大気海洋相互作用

2023年5月21日(日) 15:30 〜 16:45 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:関澤 偲温(東京大学先端科学技術研究センター)、桂 将太(東京大学大気海洋研究所)、安藤 雄太(九州大学)、木戸 晶一郎(海洋開発研究機構 付加価値創生部門 アプリケーションラボ)、座長:関澤 偲温(東京大学先端科学技術研究センター)、木戸 晶一郎(海洋開発研究機構 付加価値創生部門 アプリケーションラボ)


15:30 〜 15:45

[ACG30-11] JPCZと同時発生した北海道西岸小低気圧の移動経路

★招待講演

*春日 悟1、立花 義裕1 (1.三重大学)

キーワード:小低気圧、JPCZ、総観場解析

2018年2月初旬,ユーラシア大陸からの寒波に伴い,日本海上ではJPCZが発生した.それは北陸地方へ停滞し,福井県北部を中心に豪雪をもたらした.降雪時,北海道西岸では小低気圧が停滞しており,JPCZと北海道西岸小低気圧の同時発生事例であった.これまでJPCZと北海道西岸小低気圧の同時発生事例の報告例は少なくないが,両者の相互作用は明らかではない.また,日本海を北進する小低気圧は典型的ではなく,これまで詳細に調べられた例は知る限りない.本研究では,日本海を北進した2018年2月初旬の小低気圧の移動経路の力学的要因を調査し,さらにJPCZとの同時発生の要因の考察を試みた.気象庁MSMや衛星赤外画像を用いて総観場解析した.小低気圧の北進時,その北部日本海上で対流が顕著であり,その潜熱放出による効果で低気圧中心は北進したと思われる.その直前,太平洋を北東進していた温帯低気圧から日本海へ暖気と水蒸気が輸送されており,小低気圧北部の対流活発へ寄与したと考えられる.小低気圧の北進と同時に寒気は南下,傾圧帯から抜け出した小低気圧は寒気内の弱い上層風の中で北進速度は減少し西高東低の地表北風と拮抗することで移動が停滞したと思われる.2018年冬季はJPCZと北海道西岸小低気圧の同時発生事例は複数あり,当日はその調査結果も発表する予定である.