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[ACG30-P04] 令和2年7月豪雨における梅雨前線停滞の要因
キーワード:梅雨前線、豪雨、海洋混合層
2020年7月3日から7月31日にかけて発生した令和2年7月豪雨を引き起こした梅雨前線の長期停滞の要因について調べた。東経130度における天気図上の梅雨前線の位置を追跡すると、7月3日から29日まで北緯30度から35度の緯度帯内に合計で20日停滞し続けていた。2002年から2021年までの20年間の7月において、合計20日の前線停滞日数は最多であった。この梅雨前線の長期停滞の要因として九州付近における梅雨前線の停滞の必要条件である黄海高気圧指標を調べたところ、2020年の黄海上の高気圧偏差は、7月末まで維持していたことが確認された。黄海高気圧は、2020年7月の黄海における1−3℃の負の海面水温偏差によって維持されていたと考えられる。さらに、2020年7月の黄海における顕著な負の海面水温偏差の要因として、6月末に通過した低気圧の影響が示唆された。2020年6月29〜30日に黄海中央部を通過した強い低気圧の通過に伴い、黄海全域で海洋混合層が深まり、0.5-1.5℃/dayの急激なSST低下が引き起こされていた。その結果、黒潮と黄海の海面水温の差が大きいままであることによって、北緯30度付近において強い水温コントラスト(23〜25度)が7月を通じて維持された。すなわち、黄海高気圧の維持に伴ってSSTとSATの強いコントラストが九州西方海上で継続し、それが北緯30ー35度に梅雨前線を長期停滞させた要因の一つであったと考えられる。