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[ACG37-P01] 雲の衛星観測における3D放射効果の補正方法の開発
キーワード:雲、放射伝達、リモートセンシング
雲は地球の放射収支を考えるうえで重要な要素であり、将来の地球の気候に多大な影響を与える。放射収支の観点で特に重要である、雲光学的厚さ(Cloud Optical Thickness; COT)は、衛星観測によって全球で観測されてきた。しかし、現在の衛星観測によるCOT推定手法では雲を平行平板かつ鉛直一次元の放射の輸送のみを考えており、現実の三次元的な放射伝達と不均質な雲を考慮していない。この仮定によって、放射伝達モデルで計算される反射率に誤差が生まれCOTの推定に影響を及ぼしている。この仮定による代表的な誤差の例として、太陽天頂角が大きい場合に、太陽側に照らされる雲の側面で反射率が高くなる照射 (illuminating) 効果、反対側では雲が影となり反射率が小さくなる陰影 (shadowing) 効果を示し、COTの過大評価及び過小評価することが指摘されている。本研究では雲の不均質性を考慮した3次元放射伝達計算と、従来の手法である1次元放射伝達で計算されうる反射率を教師データとして深層学習モデルを開発し反射率を補正した。補正した反射率を元に従来の衛星観測のCOT推定を模した手法によって、COTの誤差を比較した。その結果、従来の手法でのRMSEは93.8%であったのに対し、補正した反射率によって推定されたCOTの誤差は33.2%と大きく軽減された。事例解析によっても反射率が補正されていることが確認できた。本研究は衛星直下視での条件であったため、様々な視野角でも適用できるように発展させることを次の目標とする。