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[AHW23-P06] 地下水位観測及び水質・安定同位体分析に基づく2022年の赤池出現メカニズムの検討
キーワード:富士山、一時的湖沼、水質、安定同位体
日本各地には特定の条件下で出現・消失を繰り返す湖沼の存在が知られている(例えば、池の平(静岡県)、血の池(群馬県)や赤池(山梨県))。これらの水体は不定期に出現しかつ短期間で消失してしまうため観測が難しく、その発生条件や出現メカニズムについては不明な点が多い。これまでの研究では、2020年7–8月及び2021年8月に富士山北麓に出現した赤池の水の水素・酸素安定同位体比の解析から、赤池に流入する水が主に直近の降雨に由来することを明らかにした。また、主要溶存イオン組成、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比等の特徴から、赤池の水の起源が地下深部に浸透することなく比較的短期間で流出した降雨であることを明らかにした。しかしながらこれらの調査では、表層水の観測しか行っておらず、詳細な出現プロセスの解明には至らなかった。そこで本研究では、赤池の地下水位の観測及び地下水の水質・水の安定同位体比の測定を行い、赤池の出現機構の解明を試みた。地下水位観測は、2022年5月に赤池湖心及び南北斜面の深さ80 cmから2.7 mの観測井に小型絶対圧水位計(応用地質 S&DL mini)設置し行った。地下水試料は、赤池湖心の観測井からベーラー型の採水器を用い2022年6月から11月にかけて概ね1ヶ月に1回の頻度で採取した。本研究では、台風14、15号の影響で赤池の湛水が確認された2022年9月中旬から下旬を対象に、地下水位変動及び水質・水の安定同位体比の変化から赤池の形成メカニズムについて考察を行う。