10:45 〜 12:15
[AOS14-P01] 小惑星ベスタにおける人工的な生存圏の構築
キーワード:ベスタ、人工的な生存圏、スペースコロニー、小惑星
私たちは京都大学の大学院共通科目「有人宇宙学」での学びを通して、小惑星Vestaに人口 150 人程度のスペースコロニーを構築することについての検討を進めてきた。スペースコロニーの構築のための検討すべき側面としては、生存のための方法や技術的課題だけではなく、社会の形成目的や社会制度、他の天体との関わり、居住者の職業や通貨制度など様々な側面があるが、今回はVestaにおける人工的な生存圏の構築に焦点をあて、これまで検討してきた内容を発表する。
火星と木星の公転軌道の間にはメインベルトと呼ばれる、小惑星の公転軌道が集中する領域が存在する。このメインベルトの中で 3 番目に大きな小惑星がベスタである。その直径は⾧径が 530 ㎞ 、短径は 468.3 ㎞である。火星や地球の月などと比べても非常に質量が小さい天体であるため、その表面重力は 0.30 m/s^2である。軌道⾧半径は 2.362 AUと地球と比べて太陽からの距離が遠く、大気も存在しないため表面温度は最高で 223 Kである。また、公転周期は 3.63 年である一方、自転周期は 5.342 時間と非常に短い。
ベスタは NASA が打ち上げた探査機 Dawn によって 2011 年から 2012 年にかけて探査・ 観測が行われている。この探査によってベスタの地形を知るとともに詳細な地質マップが作成された。ベスタの表面は玄武岩からなるが、その内部は鉄とニッケルからなる核の外にカンラン石のマントルを持つ層状構造を成している。地表には多数のクレーターが存在し、最も大きなクレーターである Rheasilvia クレーターはベスタの南半球の大部分を覆っている。また、赤道付近には水素を特に多く含むことがわかっており、ヒドロキシル基もしくは水が鉱物に結合して存在する可能性が指摘されている。ベスタの赤道付近に存在する Marcia クレーターには幅 1 ㎞、深さ 200 m の縦穴が存在することがわかっている。月面基地建設について、放射線防護等の観点から地下空洞の内部に居住することが有力な案として議論されているが、その議論に倣い、今回はこの Marcia クレーターに存在する縦穴に小社会を構築することを考える。
生存のために必要な要素として、電力の調達、空気の供給、食料生産、水の循環、放射線防護、緊急時の脱出方法について検討した。それぞれについて発表する。
火星と木星の公転軌道の間にはメインベルトと呼ばれる、小惑星の公転軌道が集中する領域が存在する。このメインベルトの中で 3 番目に大きな小惑星がベスタである。その直径は⾧径が 530 ㎞ 、短径は 468.3 ㎞である。火星や地球の月などと比べても非常に質量が小さい天体であるため、その表面重力は 0.30 m/s^2である。軌道⾧半径は 2.362 AUと地球と比べて太陽からの距離が遠く、大気も存在しないため表面温度は最高で 223 Kである。また、公転周期は 3.63 年である一方、自転周期は 5.342 時間と非常に短い。
ベスタは NASA が打ち上げた探査機 Dawn によって 2011 年から 2012 年にかけて探査・ 観測が行われている。この探査によってベスタの地形を知るとともに詳細な地質マップが作成された。ベスタの表面は玄武岩からなるが、その内部は鉄とニッケルからなる核の外にカンラン石のマントルを持つ層状構造を成している。地表には多数のクレーターが存在し、最も大きなクレーターである Rheasilvia クレーターはベスタの南半球の大部分を覆っている。また、赤道付近には水素を特に多く含むことがわかっており、ヒドロキシル基もしくは水が鉱物に結合して存在する可能性が指摘されている。ベスタの赤道付近に存在する Marcia クレーターには幅 1 ㎞、深さ 200 m の縦穴が存在することがわかっている。月面基地建設について、放射線防護等の観点から地下空洞の内部に居住することが有力な案として議論されているが、その議論に倣い、今回はこの Marcia クレーターに存在する縦穴に小社会を構築することを考える。
生存のために必要な要素として、電力の調達、空気の供給、食料生産、水の循環、放射線防護、緊急時の脱出方法について検討した。それぞれについて発表する。