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[BCG06-P04] モノハイドロカルサイトの変質過程におけるU(Ⅵ)の取り込み挙動
キーワード:モノハイドロカルサイト、ウラン、共沈
ウラン(U(Ⅵ))はpH条件の変化により様々な化学種形態に変化し、低pH条件では陽イオン、高pH条件では陰イオンとしての挙動を示すという特徴がある。一般的に、有害とされる重金属元素は比較的広範囲のpH条件において主に陽イオンとして存在しており、環境中のpHを高く保つことにより除去されている。しかし、高pH条件において鉱物表面は負に帯電しているため、陰イオンの形態へと変化するU(Ⅵ)の環境中への溶出が懸念される。
モノハイドロカルサイト(MHC; CaCO3・H2O)は、アルカリ塩湖などに自生する炭酸カルシウムの一つである。MHCはカルサイトやアラゴナイトに対して準安定な物質であり、不安定な鉱物相であるために微量元素に対して高い反応性を持つことが指摘されている(Fukushi et al., 2011)。Fukushi et al. (2016)ではU(Ⅵ)と同様に陰イオンの形態で存在するヒ酸(AsO43-)のMHCに対する取り込み挙動を検討し、MHCが安定相へと変質する際に効果的にヒ酸が溶液から除去されることを報告した。MHCの変質による有害元素の除去は、直接カルサイトやアラゴナイトを溶液中で生成させるよりも、MHCを添加するのみで自発的に有害元素の除去が進むため、効果的な除去材料といえる。したがって、MHCは高pH条件においてU(Ⅵ)を効果的に除去できる物質である可能性がある。
本研究では、モノハイドロカルサイトの変質過程におけるU(Ⅵ)の取り込み挙動をMg濃度の異なる取り込み速度実験を通して検討した。MHCの懸濁液にU(Ⅵ)溶液添加した系における鉱物組成とU(Ⅵ)濃度の時間変化の観察から、Mg濃度が低い条件ではカルサイト、高い条件ではアラゴナイトへとMHCは変質した。MHCがカルサイトまたはアラゴナイトへ変質し始めるタイミングでU(Ⅵ)除去率の低下と上昇が見られた。このことから、アラゴナイトはU(Ⅵ)を溶液から効果的に除去し、カルサイトはU(Ⅵ)の除去に寄与しないことが示唆された。高pH条件においてMHCがアラゴナイトへと変質する水質条件では、MHCはU(Ⅵ)の効果的な除去材料として働くと期待される。本発表では反応固体試料のX線吸収微細構造(XAFS)結果に基づき取り込みメカニズムに関しても議論する。
モノハイドロカルサイト(MHC; CaCO3・H2O)は、アルカリ塩湖などに自生する炭酸カルシウムの一つである。MHCはカルサイトやアラゴナイトに対して準安定な物質であり、不安定な鉱物相であるために微量元素に対して高い反応性を持つことが指摘されている(Fukushi et al., 2011)。Fukushi et al. (2016)ではU(Ⅵ)と同様に陰イオンの形態で存在するヒ酸(AsO43-)のMHCに対する取り込み挙動を検討し、MHCが安定相へと変質する際に効果的にヒ酸が溶液から除去されることを報告した。MHCの変質による有害元素の除去は、直接カルサイトやアラゴナイトを溶液中で生成させるよりも、MHCを添加するのみで自発的に有害元素の除去が進むため、効果的な除去材料といえる。したがって、MHCは高pH条件においてU(Ⅵ)を効果的に除去できる物質である可能性がある。
本研究では、モノハイドロカルサイトの変質過程におけるU(Ⅵ)の取り込み挙動をMg濃度の異なる取り込み速度実験を通して検討した。MHCの懸濁液にU(Ⅵ)溶液添加した系における鉱物組成とU(Ⅵ)濃度の時間変化の観察から、Mg濃度が低い条件ではカルサイト、高い条件ではアラゴナイトへとMHCは変質した。MHCがカルサイトまたはアラゴナイトへ変質し始めるタイミングでU(Ⅵ)除去率の低下と上昇が見られた。このことから、アラゴナイトはU(Ⅵ)を溶液から効果的に除去し、カルサイトはU(Ⅵ)の除去に寄与しないことが示唆された。高pH条件においてMHCがアラゴナイトへと変質する水質条件では、MHCはU(Ⅵ)の効果的な除去材料として働くと期待される。本発表では反応固体試料のX線吸収微細構造(XAFS)結果に基づき取り込みメカニズムに関しても議論する。