日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG21] 原子力と地球惑星科学

2023年5月25日(木) 09:00 〜 10:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)、濱田 崇臣((一財)電力中央研究所)、笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、座長:竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)

09:30 〜 09:45

[HCG21-03] 蛍光染料の保存性とその濃度低下が生じうる地下水の特徴

*杉山 歩1、中田 弘太郎1長谷川 琢磨1 (1.一般財団法人電力中央研究所)

キーワード:蛍光染料、ウラニン、地下水トレーサー、保存性

蛍光染料は、地下水の調査や試験においてトレーサーとして広く利用されている。このとき蛍光染料は保存性であると考えられており、吸着や減衰など混合以外のメカニズムで濃度が変化する場合、調査や試験の結果に大きな影響を与えることとなる。しかしながら、種々の地下水と蛍光染料を接触させたとき、地下水と蛍光染料の組合せによっては蛍光染料の濃度が保存中に有意に低下する現象が確認されている(中田ほか、2017; 杉山ほか、投稿中)。本研究では、既報(杉山ほか、投稿中)で試験した4種類の蛍光染料にさらに3種類の蛍光染料を加え、全国各地から採取した34種類の地下水等を用いて蛍光染料溶液を調製し、それらの濃度変化を調べた。そして、その結果をもとに蛍光染料の保存性に影響を与える地下水の特徴について議論した。地下水の特徴から蛍光染料の濃度低下が生じる可能性についてある程度把握することができれば、調査や試験に用いる蛍光染料を選定する際に、有用な情報となると考えられる。
本研究は経済産業省から受託事業「令和4年度 高レベル放射性廃棄物処分等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(岩盤中地下水流動評価技術高度化開発)」において実施したものである。

引用文献
中田弘太郎,長谷川琢磨,柏谷公希(2017):地下水トレーサーとしての蛍光染料の分析と試料溶液の保存法の検討,地下水学会誌,59(3),205-227.
杉山歩,中田弘太郎,長谷川琢磨(投稿中):蛍光染料の濃度低下メカズムの解明と濃度低下に対する対処方法の提案,地下水学会誌.