13:45 〜 15:15
[HDS08-P09] 尾瀬沼南東部の大規模地すべり内部の変動監視 ―RTK-UAVによる多時期写真測量―
キーワード:UAV-SfM、GNSS、空中写真判読、差分解析、微地形変化
大規模地すべり内部の小規模なマスムーブメント現象およびその前駆現象である微地形変化に捉え,山地利用,とくに地すべり内部の構造物の維持管理に資する経時的かつ面的地すべり評価を行うため,内部に送電線路が敷設された大規模地すべりを対象にRTK-UAVを用いた写真測量を継続的に実施している.研究対象は尾瀬沼の南東約3 kmに位置する幅約1 kmの大規模地すべりである.地すべり内部の東側には,北北東-南南西方向に送電線路が敷設されている.複数時期に撮影された航空写真判読の結果,1950年頃から現在まで地すべり変動が継続していることが示されている.また,地すべり内の南東部に設置された鉄塔の基礎部は,地すべり変動による不安定化を防ぐために補強されている.送電線路の周囲は幅約100 mにわたり伐開されており,UAV写真測量による地形把握が容易である.
UAV測量は2020年11月以降に計4回,積雪直前の10-11月,融雪直後の6月を中心に実施した.写真測量にはDJI社のPhantom4RTKとD-RTK2モバイルステーション,三次元モデル作成にはAgisoft社のMetashape Profesionalを使用し,各時期の10cmDSMおよび3cm高解像度オルソ画像を取得した.また,3次元モデルの精度検証のため,伐開地内に検証点を複数設置した.検証点の測位にはu-blox社のANN-MB-01およびQwiic社のZED-F9P搭載GPS-RTK2モジュールを利用し,電子基準点「片品」とのPPK解析により座標値を取得した.PPK解析にはRTKLIB 2.4.3を使用した.検証点における写真測量とGNSS測位の差異は,水平方向では±0.1〜0.4 m,垂直方向では+1.4 m未満であった.なお,垂直方向の差異には植生高も含まれる.DSMの差分解析により,2022年の融雪期に伐開地中央部の地すべり小ブロックにおいて,深さ約4 m, 幅10 mの末端崩壊が生じたことが示された.また,馬蹄形の凹地が連続的に分布し植生が疎らな領域において約0.2 m/yearの面的な沈下が認められるなど,年単位で地すべり変動が継続していることが確かめられた.今後もUAV写真測量の継続やGNSSによる大規模地すべり全体の変動調査など,微地形変化の継続監視,鉄塔路の被災リスク調査を継続する.
UAV測量は2020年11月以降に計4回,積雪直前の10-11月,融雪直後の6月を中心に実施した.写真測量にはDJI社のPhantom4RTKとD-RTK2モバイルステーション,三次元モデル作成にはAgisoft社のMetashape Profesionalを使用し,各時期の10cmDSMおよび3cm高解像度オルソ画像を取得した.また,3次元モデルの精度検証のため,伐開地内に検証点を複数設置した.検証点の測位にはu-blox社のANN-MB-01およびQwiic社のZED-F9P搭載GPS-RTK2モジュールを利用し,電子基準点「片品」とのPPK解析により座標値を取得した.PPK解析にはRTKLIB 2.4.3を使用した.検証点における写真測量とGNSS測位の差異は,水平方向では±0.1〜0.4 m,垂直方向では+1.4 m未満であった.なお,垂直方向の差異には植生高も含まれる.DSMの差分解析により,2022年の融雪期に伐開地中央部の地すべり小ブロックにおいて,深さ約4 m, 幅10 mの末端崩壊が生じたことが示された.また,馬蹄形の凹地が連続的に分布し植生が疎らな領域において約0.2 m/yearの面的な沈下が認められるなど,年単位で地すべり変動が継続していることが確かめられた.今後もUAV写真測量の継続やGNSSによる大規模地すべり全体の変動調査など,微地形変化の継続監視,鉄塔路の被災リスク調査を継続する.