日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE12] 応用地質学の新展開

2023年5月25日(木) 15:30 〜 16:45 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:竹村 貴人(日本大学文理学部地球科学科)、竹下 徹(北海道大学総合博物館・資料部)、座長:竹村 貴人(日本大学文理学部地球科学科)、竹下 徹(北海道大学総合博物館・資料部)

16:00 〜 16:15

[HRE12-03] CO2循環型地熱発電システムのフィージビリティスタディ

*末永 弘1、中尾 吉伸1、深田 利昭1 (1.一般財団法人電力中央研究所)

キーワード:二酸化炭素、地熱発電、室内試験、数値シミュレーション、フィージビリティスタディ、発電電力量

CO2循環型地熱発電の方式として、一坑井内に二重管を挿入しCO2を循環させて抽熱を行う同軸式、二坑井を孔底付近で接続しCO2を循環させて抽熱を行うクローズドループ式、二坑井と岩盤内の天然・人工亀裂を介してCO2を循環させて抽熱を行うオープンループ式の三方式が考えられる。このうち、クローズド・オープンループ式を対象に坑井内および岩盤内におけるCO2と地下水の流動を評価可能な数値解析手法を構築し、既往の高温岩体発電研究実施地点である雄勝地点、肘折地点の地下岩盤のモデルを用いた数値シミュレーションを行った。その結果、本研究におけるシミュレーション条件では、貯留層深度が深く坑底圧力の大きい肘折のモデルを用いた場合の注入・生産井の地下での差圧が4MPaの時に最も高出力が得られる可能性を見出した。また、CO2循環型地熱発電システムとしての発電電力量予測手法を構築し、最高出力が想定された肘折地点においてCO2タービンとバイナリー発電機とのコンバインドシステムを適用した場合の発電電力量を算出した。
CO2循環を模擬した室内実験では、地下における高温・高圧の超臨界CO2循環の条件を検討し、これと相似の配管径、流速等を持つ超臨界CO2の流体流動を可能とした室内実験装置を構築し、注入CO2圧力(以降圧力)、地下相当温度(以降温度)をパラメータとしたCO2循環実験を実施した。その結果、圧力が8~18MPa、温度が75~200℃の範囲において、温度変化に伴い自身の密度差で自然循環するサーモサイフォン現象が確認された。本実験装置では、圧力が同様であれば温度が高いほど高い熱出力が得られること、圧力12~14MPaの際に熱出力のピークが見られることが分かった。また、これらの室内CO2循環実験は、坑井内における熱流動の解析プログラムで再現できることが明らかとなった。