日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT17] 環境リモートセンシング

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (13) (オンラインポスター)

コンビーナ:齋藤 尚子(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、島崎 彦人(独立行政法人国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[HTT17-P06] 紫外ライダーによる地表面に近い大気の気象・環境観測

*矢吹 正教1三浦 和彦2,3、久世 宏明4、松木 一人5、内保 裕一5、竹内 栄治5、長谷川 壽一5 (1.京都大学、2.東京理科大学、3.富士山環境研究センター、4.千葉大学、5.英弘精機株式会社)

キーワード:紫外ライダーシステム、気象・環境観測

地表面に近い大気における熱輸送や物質輸送は、ヒートアイランドや局所的な豪雨に代表される極端気象、健康に悪影響をもたらす大気汚染など、多岐にわたり大気現象や環境変動に関与する。我々のグループでは、大気の熱力学過程や物質分布を地上からのリモートセンシングにより捉えるライダー手法の開発を行ってきた。気温と水蒸気量鉛直分布の昼夜連続観測を目的として、回転・振動ラマンライダーを構築した。この装置には、日中の背景光雑音が無視できる深紫外領域を用いており、また気温計測の回転ラマン検出で課題となる精密な波長調整を容易にできる実用性の高さが特徴となる。滋賀県信楽においてラマンライダーとラジオゾンデとの比較観測から精度評価を行った。さらに、風速3成分を計測するドップラーライダー(WindCube v2.1, Leosphere社製, 英弘精機提供)と気温ライダーの同時観測から接地境界層上部の大気の鉛直構造について調べた。
  空間分布を計測するための車載ライダーの開発も進めている。ライダーに用いた紫外光源はアイセーフ基準を満たすが、さらなる安全性の確保のため、障害物検知ライダーを用いて陸橋など進行方向上空の障害物を探知した際にレーザー射出を停止させる機能を追加した。近傍計測への対応として、ライダー受光部に複数のウェッジプリズムを設けた光学系を開発し、距離7 m先からの定量計測を可能とする。ライダーは車内に設けた防振パレット上に配し、走行しながら約48時間の無給電の連続観測ができる。現時点での計測対象は大気エアロゾルのみであるが、都心の高層ビル街や湾内の連絡橋、および関西・関東間の数百キロの道路上の鉛直移動観測を実施し、道路上のエアロゾル空間分布の地域依存性や経時変化を調べた。本発表では、主に秋季~冬季に東京で観測された接地逆転層を含む大気境界層のエアロゾル分布の特徴について紹介する。