14:30 〜 14:45
[MIS08-15] 南大洋オーストラリア南極海盆における乱流拡散係数の経年変化について
キーワード:南大洋、乱流拡散、温暖化
南大洋は負の熱とCO2などの物質の巨大リザーバーであり、全球規模の気候変動のカギを握ることから、様々な観点から温暖化の影響評価と仮説的な研究が進められている。乱流混合は、栄養塩類などの供給など生物ポンプに関わる効果の他にも、最近発見された南大洋子午面循環の浅化(Shimada et al., 2022)など、物理的循環場の変化にも直接関与すると考えられる。乱流拡散の変動と循環における総合的な効果を評価するとともに、定期的な観測を続け動向を注視する必要がある。
本研究では、10年以上にわたり海鷹丸により取得されたCTDデータを解析し、鉛直混合場の分布と変動の特性を調べた。南大洋の東経110度線に沿って、海鷹丸により2011年~2023年に得られたCTD観測データ、および2016年にVMP-5500により得られた乱流観測データを用いた。観測に使用したCTDはSea-Bird社のSBE911plusである。まず、生のCTDデータから船の動揺によるCTDシステムの上下動の影響を除去し、0.04dbarごとに内挿し、1dbarごとに移動平均を施した。次に、Galbraith and Kelly (1996)の手法、Gargett and Garner (2008)の手法を用いて評価した乱流エネルギー散逸率を、VMP-5500で観測したものにより校正し、各種乱流パラメータを求めた。
海盆を分断する中央海嶺や大陸斜面域にも乱流混合が大きい所が僅かに認められたが、解析期間を通じで、500m以浅での乱流拡散係数が高く、また中緯度に比べ60度以南の高緯度で高い傾向がみられた。経年変化としては、深層~海底では乱流拡散係数に殆ど変化がないのに対し、表層混合層~塩分躍層の深度帯で増加する傾向が見られ、その変化は10年間(2011~2020年)で1桁増加していることが分かった。2020年までのデータにおいて、乱流エネルギーの増加は、風の増加と整合的な変化を示すが、2023年1月のデータを含めた以後も同様の傾向を示しているのかについて解析中である。
本研究では、10年以上にわたり海鷹丸により取得されたCTDデータを解析し、鉛直混合場の分布と変動の特性を調べた。南大洋の東経110度線に沿って、海鷹丸により2011年~2023年に得られたCTD観測データ、および2016年にVMP-5500により得られた乱流観測データを用いた。観測に使用したCTDはSea-Bird社のSBE911plusである。まず、生のCTDデータから船の動揺によるCTDシステムの上下動の影響を除去し、0.04dbarごとに内挿し、1dbarごとに移動平均を施した。次に、Galbraith and Kelly (1996)の手法、Gargett and Garner (2008)の手法を用いて評価した乱流エネルギー散逸率を、VMP-5500で観測したものにより校正し、各種乱流パラメータを求めた。
海盆を分断する中央海嶺や大陸斜面域にも乱流混合が大きい所が僅かに認められたが、解析期間を通じで、500m以浅での乱流拡散係数が高く、また中緯度に比べ60度以南の高緯度で高い傾向がみられた。経年変化としては、深層~海底では乱流拡散係数に殆ど変化がないのに対し、表層混合層~塩分躍層の深度帯で増加する傾向が見られ、その変化は10年間(2011~2020年)で1桁増加していることが分かった。2020年までのデータにおいて、乱流エネルギーの増加は、風の増加と整合的な変化を示すが、2023年1月のデータを含めた以後も同様の傾向を示しているのかについて解析中である。