日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS08] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2023年5月26日(金) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (10) (オンラインポスター)

コンビーナ:草原 和弥(海洋研究開発機構)、箕輪 昌紘(北海道大学・低温科学研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、関 宰(北海道大学低温科学研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/26 17:15-18:45)

15:30 〜 17:00

[MIS08-P02] 衛星重力データ、衛星高度計データを利用した南極氷床変動成分の分離と評価

*山本 圭香1奥野 淳一2入江 芳矢2施 天焔2土井 浩一郎2福田 洋一2 (1.国立天文台、2.国立極地研究所)

キーワード:南極、氷床質量収支、衛星重力、衛星高度計

南極の広域の氷床バランスの研究に重力測定衛星のデータを使用することには、大スケールの氷床の時間変化を質量の変化として捉えることができるという利点がある。
重力測定衛星が観測するのは、鉛直方向の質量の変化の総和であり、南極において氷床質量変動値を得るには、Glacial Isostatic Adjustment (GIA)による質量変化の影響を除去する必要がある。我々はこれまでの研究で、重力測定衛星データに加え、衛星高度計データを用い、氷床質量変動とGIAによる質量変化との分離を試みたが、観測された高度変化が表面のフィルンの増減のみで説明できると仮定した場合、GIAの推定値に不自然な負の値をとる地域が生じることがわかった。このことは、雪氷の増減による表面質量収支のみでは南極氷床の質量収支を十分に説明できていないことを示唆している。
本研究では、GIAについては既存のGIAモデルを仮定し、その不定性の範囲内で、南極氷床の質量収支を説明するための氷床変動の各成分の見積もりを行った。氷床の質量変動成分として、フィルンの増減に加え、底面融解や氷床下部からの基底流の成分を新たに考慮し、これらを、GIA成分を除去後の衛星重力データ、衛星高度計データから最小二乗法によって推定した。そして、得られた値を氷床モデルと比較し、GIAモデルの不定性、および氷床モデルの誤差の範囲内において観測された変動が説明可能であるかどうかを地域ごとに評価した。