11:20 〜 11:40
[MIS10-09] 山岳システムにおける地表水-地下水の相互作用 ー北アルプスにおける成果と今後の展望ー
★招待講演
キーワード:北アルプス、地表水-地下水交流、降雨流出、水貯留
多量の降水量・積雪量を有する山岳域は,水の移行に伴う諸現象(例えば,土砂移行,地形変化,植生の形成など)が動的に起こる場である.また,気候変動によって,降水量変化や雨雪率変化などの降水レジームが変化する可能性が指摘されている.そのため,山岳では,水移行に関わる急速な環境変化が起こりうり,山岳域における水循環機構の理解の重要性が高まっている.水循環機構の中でも,地表水の地下への浸透と地下水の地表への流出,すなわち地表水-地下水相互作用は,最も基本的な水文学的過程の一つである.山岳域は,急峻な地形による大きな動水勾配,種々の粒径や性質を有する土砂が堆積する条件,亀裂が卓越する地質構造などを有する.しかしながら,これらの条件が山岳域の地表水-地下水の相互作用にどのように影響しているのかということは十分に明らかとなっていない.
演者らは,北アルプス地域とその下流部を研究対象とし,地表水-地下水の相互作用を明らかとするべく,現場観測に基づく調査・研究を実施してきた.そのなかで,山体地下水が山岳渓流の基底流を維持させる役割を有していること,基岩が露出する流域か砂礫が堆積する構造を有しているかによって降水時のピーク流出発生のメカニズムが異なること,高山域における土壌層の存在が水貯留機能をもたらしていることなどが明らかになりつつある.本発表では,従来から指摘されている山岳域の水文過程を概説し,これまでの北アルプス(主に乗鞍岳)における地表水-地下水相互作用に関わる研究成果と今後の展望を発表する.
演者らは,北アルプス地域とその下流部を研究対象とし,地表水-地下水の相互作用を明らかとするべく,現場観測に基づく調査・研究を実施してきた.そのなかで,山体地下水が山岳渓流の基底流を維持させる役割を有していること,基岩が露出する流域か砂礫が堆積する構造を有しているかによって降水時のピーク流出発生のメカニズムが異なること,高山域における土壌層の存在が水貯留機能をもたらしていることなどが明らかになりつつある.本発表では,従来から指摘されている山岳域の水文過程を概説し,これまでの北アルプス(主に乗鞍岳)における地表水-地下水相互作用に関わる研究成果と今後の展望を発表する.