日本地球惑星科学連合2023年大会

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現地ポスター発表

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[O-06] 高校生ポスター発表

2023年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 現地ポスター会場 (幕張メッセ展示ホール8)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 13:45-15:15)

13:45 〜 15:15

[O06-P31] 三陸ジオパーク・新ジオサイト「八戸海成段丘」の提案

*田頭 航来1、*川口 修治1、*小川 主真1、*松坂 彩良1、*藤森 貴志1 (1. マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニア)

キーワード:地球環境、地質、ジオパーク、海成段丘、海水準


三陸ジオパークは、青森県から宮城県にかけての太平洋岸に設置されている。マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニアの属する八戸市水産科学館マリエントはその北端部にある(図1)。筆者らは、2019年度から郷土を学習する活動として三陸ジオパークについて学習している。地震と津波の常襲地帯と呼ばれる地域に暮らしていることを理解し、防災と減災に生かしたいと考えたからである。学習は、巡検と観察、討論を元に協同の学習を進め、知識の共有と情報発信の態度を育成するため「ジオ紙芝居」を作成し、実演した。その成果はJpGU学生セッションや日本ジオパーク全国大会等で発表してきた。
 2022年度のジオパークに関係する活動は、海成段丘に注目し学習を進めてきた。三陸海岸北部には大規模な海成段丘群が発達していて、階上海成段丘や大野海成段丘など複数のジオサイトが設定されている。しかし、ガイドブック等での説明は観光向けで、成因については中学校理科での内容程度となっている。
 筆者らは、八戸市に隣接する上北地方での研究報告を参考に協同の学習をすすめ、以下の事がわかった。
1 段丘上の火山灰で、段丘の対比と編年が判明する。
2 複数の段丘形成には隆起と海水準変動が関係する。
3 種市層・高館層は広い地域で対比できる基準的段丘である。
4 三陸海岸は、ここ100年の計測では沈降傾向である。
5 2011年東北地方太平洋沖地震で三陸海岸は沈降し、その後徐々に隆起している。
6 三陸海岸では、大地震と隆起の関係性は低い
 この過程で、海水準変動は気候変動に起因するため、海成段丘は過去にあった気候変動の証拠と考えた。ジオパーク活動で、全地球的課題となっている気候変動を学ぶことは大きな意義がある。
 そこで今年度は、海成段丘と気候変動を結びつけた新ジオサイト「八戸海成段丘」を提案することにした。新ジオサイトを周知するために、ビューポイントとウォーキングルートを設定し、ジオ紙芝居を作成した。ビューポイントは、三陸復興国立公園の美しい風光を楽しむ中で海成段丘を知ってもらう設定とし、ウォーキングルートは複数の段丘で、段丘面と段丘崖を体感できるようアクセスと時間配分に留意した。ジオ紙芝居は「δ18Oでの古環境復元」「三陸海岸の隆起」など5点を作成したが、COVID‑19への配慮から2023年3月末現在で、会員以外への公開に至っていない。活動を通して、海成段丘と気候変動、火山活動について知識が深まった。また、変動帯に暮らし、その恩恵を受けていることが理解できた。ここで学んだ事から新たなジオストーリーを提案し、多方面に発信し、防災・減災に生かしていきたい。