日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM11] 系外惑星

2023年5月25日(木) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (2) (オンラインポスター)

コンビーナ:小玉 貴則(東京大学)、野津 翔太(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室)、川島 由依(理化学研究所)、森 万由子(東京大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/24 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[PEM11-P07] 系外惑星の大気と磁場の実証に向けたオーロラ電波観測データ解析手法の確立

*森野 隆盛1木村 智樹1、Zarka Philippe2、Lamy Laurent2北 元3藤井 友香4土屋 史紀5 (1.東京理科大学、2.パリ天文台、3.東北工業大学、4.国立天文台、5.東北大学)


キーワード:オーロラ電波、磁場、大気

惑星のオーロラは恒星風がエネルギー源となり、磁場に沿って加速された磁気圏中の電子と大気が衝突することによって発生する。もし、系外惑星のオーロラの検出ができれば、系外惑星の磁場と大気の存在を実証することができ、生命居住可能性の理解へと繋がる。オーロラは様々な波長で発光するが、その中でもオーロラ電波は顕著に円偏光しており (Wu&Lee et al, 1979)、一般に円偏光を持たない恒星からの電波と区別することができる。オーロラ電波の観測は、恒星のコンタミネーションを除きつつ、系外惑星の磁場と大気を実証する有望な方法である。オーロラ電波の周波数は、惑星の固有磁場強度に依存するため (Farrell et al, 1999)、系外惑星の固有磁場の定量化や、それに基づく内部対流構造推定が可能である。オーロラ電波強度は、惑星磁気圏に入力される恒星風のエネルギー総量と比例関係がある(Zarka et al., A&A 2018)ため、電波強度から恒星風の運動エネルギーやその時間変動の情報を引き出すことができる。今まで、既存の電波望遠鏡を用いて、系外惑星は観測されてきており、円偏光の電波を検出したと主張する結果が1例だけ報告された(e.g.,Turner et al,2021)。しかし、既存望遠鏡の検出感度に対して電波強度が微弱だったため、惑星源のオーロラ電波であると断定することができておらず、さらなる観測や解析・検出方法の改善が必要である。そこで本研究では、現在建造と性能評価が進む、次世代低周波電波望遠鏡NenuFAR(New Extension in Nancay Upgrading LOFAR)の系外惑星観測データに、Turner et al,2021で用いられた既存電波望遠鏡の解析手法を応用し、系外惑星オーロラ電波の検出を試みる。本発表では、同解析手法を、まず木星データに適用しNenuFARによる系外惑星オーロラ電波の検出方法の妥当性の検証を行った。その結果、木星からのオーロラ電波を18〜22 MHzの範囲で96.6dBで検出できた。今後は本研究解析手法を更に高感度化させて、オーロラ電波の解析方法を改善し、系外惑星のデータに適用することで、系外惑星のオーロラ電波の検出を狙う。