15:30 〜 17:00
[PPS01-P05] 木星氷衛星探査ミッション (JUICE) 搭載ガニメデレーザ高度計 (GALA): 後置光学系モジュール (BEO) および焦点面検出器モジュール (FPA) の開発
キーワード:JUICE、GALA、木星、ガニメデ、後置光学系、焦点面検出器モジュール
JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)は欧州宇宙機関が主導する科学ミッションで、2023年の打ち上げを目指してその開発・試験が進められている。ガニメデレーザー高度計(The Ganymede Laser Altimeter: GALA)はJUICEに搭載される観測機器である。GALAの開発は、ドイツ(主導)、日本、スイス、スペインの国際協力により進められている。GALAのハードウエアモジュールである後置光学系(Backend Optics: BEO)と焦点面アッセンブリー(Focal Plane Assembly: FPA)は、アナログ電子モジュール(Analogue Electronics Module: AEM)と同様に、日本が開発を担当した。
BEOは、受信望遠鏡からのリターンプラスを受信し、ピンホール入射による空間フィルタリングとバンドパスフィルタによる波長フィルタリングを行い、高い信号雑音比を実現する。BEOの入口開口部は直径700ミクロンのピンホールである。受信望遠鏡側(ドイツ担当)とBEOの機械的インターフェースは、ピンホール開口が受信望遠鏡の焦点位置に来るように設定された。レンズ(石英製)の数は2枚に抑え、各レンズの両面に反射防止コーティングを施し、光学系として必要な効率を実現した。バンドパスフィルターは、必要な透過波長域(1064.53+/-1.5nm)全域で平均96%(要求値は90%)という良好な透過率を達成した。BEOの筐体は表面処理を施したステンレス製で、放射線遮蔽の役割も担っている。受信望遠鏡との機械的なインターフェースの要件を満たすため、BEOハウジングは単一素材から高精度の機械加工で製造した。レンズ光学系とバンドパスフィルタは、接着剤を使用せずにハウジングに収納されている。
FPAにはアバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode: APD)センサーモジュールが搭載されている。FPAはBEOからリターンパルスを受け、APD検出器を用いて光信号をアナログ電気信号に変換する(APD検出器の詳細については、本会議での小林らの発表を参照)。FPAの筐体は、BEO筐体と同様に表面処理を施したステンレス製で、放射線遮蔽の役割も担っている。2本の光ファイバー(冗長化)により、スタートパルスのごく一部がFPAに供給される。供給されたスタートパルスは小型ボールレンズで集光され、小型ミラー光学系でAPD検出器上に導入される。ミラー光学系は、FPA内部の構造部品を機械加工し、金メッキを施すことで実現した。この構成により、スタートパルスとリターンパルスを1つのAPD検出器で検出することができる。レーザー高度計の開発では、しばしばAPDの発熱を除去することが問題となる。GALAのFPAでは、APDモジュールから熱を除去するため、小型で熱伝導率が高く、剛性の低い熱経路を開発した。
BEOとFPAについては、AEMと同様に、日本国内でまず個別試験を、それに続いて統合試験を実施した。国際的な開発を進めるため、各モジュール等のハードウェアシミュレータを開発して活用した。そして2020年7月に、BEO、FPA、およびAEMのプロトフライトモデルが日本からドイツに出荷された。
本発表では、BEOとFPAの開発について紹介する。
BEOは、受信望遠鏡からのリターンプラスを受信し、ピンホール入射による空間フィルタリングとバンドパスフィルタによる波長フィルタリングを行い、高い信号雑音比を実現する。BEOの入口開口部は直径700ミクロンのピンホールである。受信望遠鏡側(ドイツ担当)とBEOの機械的インターフェースは、ピンホール開口が受信望遠鏡の焦点位置に来るように設定された。レンズ(石英製)の数は2枚に抑え、各レンズの両面に反射防止コーティングを施し、光学系として必要な効率を実現した。バンドパスフィルターは、必要な透過波長域(1064.53+/-1.5nm)全域で平均96%(要求値は90%)という良好な透過率を達成した。BEOの筐体は表面処理を施したステンレス製で、放射線遮蔽の役割も担っている。受信望遠鏡との機械的なインターフェースの要件を満たすため、BEOハウジングは単一素材から高精度の機械加工で製造した。レンズ光学系とバンドパスフィルタは、接着剤を使用せずにハウジングに収納されている。
FPAにはアバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode: APD)センサーモジュールが搭載されている。FPAはBEOからリターンパルスを受け、APD検出器を用いて光信号をアナログ電気信号に変換する(APD検出器の詳細については、本会議での小林らの発表を参照)。FPAの筐体は、BEO筐体と同様に表面処理を施したステンレス製で、放射線遮蔽の役割も担っている。2本の光ファイバー(冗長化)により、スタートパルスのごく一部がFPAに供給される。供給されたスタートパルスは小型ボールレンズで集光され、小型ミラー光学系でAPD検出器上に導入される。ミラー光学系は、FPA内部の構造部品を機械加工し、金メッキを施すことで実現した。この構成により、スタートパルスとリターンパルスを1つのAPD検出器で検出することができる。レーザー高度計の開発では、しばしばAPDの発熱を除去することが問題となる。GALAのFPAでは、APDモジュールから熱を除去するため、小型で熱伝導率が高く、剛性の低い熱経路を開発した。
BEOとFPAについては、AEMと同様に、日本国内でまず個別試験を、それに続いて統合試験を実施した。国際的な開発を進めるため、各モジュール等のハードウェアシミュレータを開発して活用した。そして2020年7月に、BEO、FPA、およびAEMのプロトフライトモデルが日本からドイツに出荷された。
本発表では、BEOとFPAの開発について紹介する。