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[PPS01-P09] Furrowを形成した衝突によって生じた、木星衛星ガニメデの極移動についての考察
キーワード:ガニメデ、衝突、極移動
木星の最大の衛星であるガニメデには、全球規模の同心円状の正断層系が存在する。この正断層系は、Furrowと呼ばれ、ガニメデで認識できる最も古い地形であり、半径約 150 km のインパクターによって作られた太陽系最大級の衝突構造である。興味深いことに、ガニメデの潮汐軸方向とこの衝突構造の中心はよく一致している。これは、衝突によって大きな正の質量異常が生じたことを示唆する (N. Hirata et al. 2020, Icarus 352, 113941)。冥王星最大の衝突盆地であるスプートニク平原の中心も、冥王星の潮汐軸に非常に近い場所に位置している。この盆地には固体窒素の堆積と地下海によって生じた正の重力異常があり、冥王星の潮汐軸に沿った極移動(天体の姿勢の変化)が起きたと考えられている(F. Nimmo et al. 2016, Nature 540, 94-96)。同様に、我々はFurrow形成時の衝突によるガニメデの極移動を考える。その結果、エジェクタの堆積や氷殻が薄まるなどの衝突後の構造が、ガニメデの極移動を引き起こすのに十分な正の重力異常を作ることができるということがわかった。