日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 月の科学と探査

2023年5月26日(金) 15:30 〜 17:00 オンラインポスターZoom会場 (3) (オンラインポスター)

コンビーナ:西野 真木(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、鹿山 雅裕(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、小野寺 圭祐(東京大学地震研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/26 17:15-18:45)

15:30 〜 17:00

[PPS06-P15] オンラインGISに搭載するための機械学習によるDEMの超解像や自動地形地質区分類

*荻野 魁人1伊深 康一郎2後藤 瑞季1大竹 真紀子3出村 裕英3 (1.公立大学法人会津大学コンピュータ理工学研究科、2.公立大学法人会津大学コンピュータ理工学部、3.公立大学法人会津大学ARC-Space)

キーワード:月、GIS、機械学習

国際宇宙ステーションの後継プログラムとして、月の周回軌道上に小型宇宙ステーションを建設するゲートウェイ構想を米国が提唱し、日本をはじめとした各国宇宙機関や産業界が参画している。その一部であるアルテミス計画は2024年の有人月着陸や月面開発を目指しており、1969年のアポロ計画以来半世紀ぶりに月へ回帰する。特に注目されている場所は、月面で水資源が確保できるかもしれない南北極の永久影とその近傍であるが、太陽発電可能な基地候補地点や地上探査者のアクセス経路が制限されるため、その検討の前提となる月南北極域の精密な地図が求められている。
 しかしながら、月南北極の画像データは陰影が多く使いにくい。レーザー高度計による月標高データ(DEM)はそれより粗いが、超解像できれば十分使える。これを機械学習で実現することが1つめの目的である。また、月に限らず地球外天体の地形地質図は伝統的に人が判読して作られているが、地球Google mapと同様に機械学習による領域分割・識別で代替することが2つめの目的である。最後に、自ら作成したデータを表示・利用するためのGISをAPIと共に設計開発実装することが3つめの目的である。本研究開発では、必要とされる新たなデータセットを作成しただけでなく、それらを表示解析できるオンライン地図を作成した。本ポスター発表でそれらの成果を報告する。
 1つめの高解像度化では、LOLAによる既存のDEM (5m/pixel) よりもSRGANにより分解能が向上したDEM (2m/pixel) の生成に成功し、これまでのDEMよりもさらに細かい地物の特徴を表現することができた。超解像手法はSRGANを用いたもの[1]とpix2pixを用いたもの[2]の2つのアプローチを比較し、より精度の良かったSRGANを選択した。生成されたDEMは影による欠測や陰影による見かけの変化がなく、任意の照明条件で写真のように高精度な陰影図を作成できた。2つ目の地形地質図作成については、本セッション「P-PS06月の科学と探査」のポスター発表、後藤ほか「Deeplabv3+を用いた『かぐや』マルチバンド画像の領域分割による自動地形地質図判読の試み」で詳細が発表される。3つ目のGIS製作については本セッション「P-PS06月の科学と探査」のポスター発表、伊深ほか「deck.glを用いた月GIS開発」で詳細が発表される。

References:
[1] Ledig et al. (2017) IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR),681-4690 “Photo-Realistic Single Image Super-Resolution Using a Generative Adversarial Network”
[2] LOLA GDR http://imbrium.mit.edu/BROWSE/LOLA_GDR/
[3] Ogino et al. (2023) 54th LPSC “Verification of Super-Resolution Method for Lunar Polar DEM by Generative Adversarial Networks”
[4] Ibuka et al. (2023) 54th LPSC “Image-To-DEM Translation with Conditional Adversarial Networks of Depth Estimation Based on Monocular Images on The Moon”