日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG56] 変動帯ダイナミクス

2023年5月26日(金) 09:00 〜 10:30 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、岩森 光(東京大学・地震研究所)、大橋 聖和(山口大学大学院創成科学研究科)、座長:岩森 光(東京大学・地震研究所)、竹村 貴人(日本大学文理学部地球科学科)

09:15 〜 09:30

[SCG56-02] 中部地方のテクトニクスと地震・火山活動

*宮崎 一希1中島 淳一1 (1.東京工業大学理学院地球惑星科学系)

キーワード:フィリピン海プレート、太平洋プレート、スラブウィンドウ

日本列島下に沈み込むフィリピン海プレートは、中国・九州地方では深さ400 km付近までその存在が追跡されているが、北陸地方をはじめとする中部日本下においては約140 kmまでしか形状が決定されておらず、スラブの沈み込みに大きな東西非対称が存在する。一方で地質学的証拠から現在中部日本下に沈み込むフィリピン海プレートは紀南海山列の軸に沿って東西方向に対称的に海底拡大したことが知られており、この矛盾は中部日本下深部までフィリピン海プレートが存在することを示唆している。

 本研究で行ったトモグラフィーの結果、若狭湾から能登半島にかけての深さ150-250 kmにフィリピン海プレートと考えられる高速度異常が存在し、中部地方直下に「く」の字に開いたスラブウィンドウを形成している可能性があることがわかった。また、2次元のシミュレーションによると3-2 Maの時期にスラブウィンドウが形成されることが示唆された。

中部地方は太平洋プレートとフィリピン海プレートが2重になって存在している地域であり、地震・火山活動において双方のプレートの影響を受けていることが知られている。また、スラブウィンドウを通じて深部からの熱、物質輸送が起きている可能性がある。この領域におけるフィリピン海プレート沈み込み様式の変化と地震活動・火山活動との比較を行うことで中部地方のテクトニクスについて議論する。