11:15 〜 11:30
[SCG56-09] 2008年岩手宮城内陸地震における断層運動と粘性流動の相互作用および地震時すべり域と余効すべり域の重複
キーワード:数値計算、断層すべり、InSAR、GNSS、カルデラ
2008年岩手宮城内陸地震(Mw 6.9)は活火山である栗駒山の東山麓で発生した逆断層地震であり,共役な断層すべり(西落ちと東落ち)を伴う複雑な破壊過程を呈する(Takada et al., 2009; Abe et al., 2013).震源域周辺には新第三紀に形成された大規模なカルデラが密集しており(Yoshida, 2001),それに伴うレオロジーの不均質性が地殻変動に影響を与える得ることは東北沖地震に対する応答から明らかになっている(Takada and Fukushima, 2013).岩手宮城内陸地震では長期にわたる余効変動がGNSSおよびInSAR解析によって検出されているが,その物理メカニズムは明らかになっていない(e.g., Iinuma et al., 2009; Takada et al., 2011; Ohzono et al., 2012).本研究では震源域を特徴づけるレオロジーの不均質性と断層運動の相互作用を明らかにするために,2008年岩手宮城内陸地震の余効変動の物理モデルを構築する.
ALOS/PALSARが撮像したSARデータを用いてInSAR時系列解析(Berardino et al., 2003)を行い岩手宮城内陸地震の余効変動を再解析したところ,(1)栗駒山西部にやや長波長の隆起が発生していること,(2)西落ちおよび東落ちの逆断層両方の余効すべり域がそれらの地震時すべり域と重複していること,が明らかになった.こうした複雑な地殻変動を定量的に理解するために,断層すべりと粘弾性変形のフィードバックを考慮したプログラムUnicycle (Barbot et al., 2017; Moore et al., 2017)を用いて数値計算を行った.その結果,(1)については地殻深部に存在する低粘性の粘弾性領域と西落ち断層の深部延長との相互作用によって引き起こされることが明らかになった.(2)については初期応力を考慮しなければ説明できず,その与え方が問題となる.そこで,初期応力は地震時すべりに伴う応力降下量をやや上回ると仮定した(地震は応力の解放過程なので下回ることはあり得ない).その結果,初期応力のうち地震時すべりによって解消しきれなかった分が地震時すべり域にも余効すべりを引き起こした.すなわち,地震時すべり域と余効すべり域の重複が再現された.さらにそのようにして引き起こされた余効すべりが時間とともに断層深部へ伝搬し,(1)で述べた栗駒山西側深部の体積的な低粘性領域と相互作用することが明らかとなった.この余効変動モデルから得られた2.2年間の余効変動ベクトルをGNSSデータと比較した結果,両者は概ね整合的であった.
ALOS/PALSARが撮像したSARデータを用いてInSAR時系列解析(Berardino et al., 2003)を行い岩手宮城内陸地震の余効変動を再解析したところ,(1)栗駒山西部にやや長波長の隆起が発生していること,(2)西落ちおよび東落ちの逆断層両方の余効すべり域がそれらの地震時すべり域と重複していること,が明らかになった.こうした複雑な地殻変動を定量的に理解するために,断層すべりと粘弾性変形のフィードバックを考慮したプログラムUnicycle (Barbot et al., 2017; Moore et al., 2017)を用いて数値計算を行った.その結果,(1)については地殻深部に存在する低粘性の粘弾性領域と西落ち断層の深部延長との相互作用によって引き起こされることが明らかになった.(2)については初期応力を考慮しなければ説明できず,その与え方が問題となる.そこで,初期応力は地震時すべりに伴う応力降下量をやや上回ると仮定した(地震は応力の解放過程なので下回ることはあり得ない).その結果,初期応力のうち地震時すべりによって解消しきれなかった分が地震時すべり域にも余効すべりを引き起こした.すなわち,地震時すべり域と余効すべり域の重複が再現された.さらにそのようにして引き起こされた余効すべりが時間とともに断層深部へ伝搬し,(1)で述べた栗駒山西側深部の体積的な低粘性領域と相互作用することが明らかとなった.この余効変動モデルから得られた2.2年間の余効変動ベクトルをGNSSデータと比較した結果,両者は概ね整合的であった.