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[SEM14-P11] マグネトテルリック法の異常位相を説明する3次元比抵抗モデル:傾いた柱状の低比抵抗異常体
キーワード:マグネトテルリック法、3次元比抵抗モデリング、異常位相
マグネトテルリック法(MT法)において,インピーダンスの非対角成分の位相(φxy及びφyx)が長周期帯で0〜90ºまたは-180〜-90ºの範囲を逸脱する場合がある.こうした現象はphases out-of-quadrant (POQ)などと呼ばれている.このPOQは,単純な構造では説明が困難であるため,かつてはモデリングの障害ともなってきた.近年では,異方性や強い比抵抗コントラストを伴う2次元構造や,L字型良導体などの3次元構造でPOQを説明するモデルがいくつか提案されている.本研究で我々は,傾いた柱状の低比抵抗異常体によってPOQが発生することを新たに発見したので,その発現条件について系統的に調べた結果について報告する.
Syntheticテストには,1 km (x)×1 km (y)×1 km (z)のメッシュに切った1000 Ωmの一様な媒質内に傾いた柱状の低比抵抗異常体(1 Ωm)を組み込んだモデルを作成した.そして,ModEMコード(Egbert and Kelbert, 2012; Kelbert et al., 2014)を使用してフォワード計算を行い,地表面または地下におけるMTインピーダンスの分布を周波数ごとに算出した.
斜め柱状低比抵抗異常体の,鉛直方向の長さ・傾斜角度・傾斜方向のパターンを様々に変えて試した結果,傾いた低比抵抗柱の傾斜角度や長さがPOQの出現に影響することが明らかになった.また,POQは傾斜させた側に出現し,傾斜方向によってxy成分またはyx成分のどちらに出現するかが変わる.例えば,斜め低比抵抗柱を西側に傾斜させた場合には,yx成分にのみPOQが発生する.
次に,フォワード計算で求めたインピーダンステンソルから,異常体の周辺における誘導電場を算出した.その分布を詳しく調べると,POQの発生領域における誘導電場には,周囲のベクトルと反転する傾向が見られた.さらに,低比抵抗柱の上端部に電流が吸い込まれ,その下端部から電流が湧き出していることが確認できた.これらの特徴はPOQが出現したモデルに共通していた.
火山の火道は,このような傾いた低比抵抗柱モデルの実例として容易に想像されるもののひとつである.本研究は,火山地域のMT法探査において,火道やその先にあるマグマだまりの位置の推定にPOQが有用な手がかりとなる可能性を示している.
Syntheticテストには,1 km (x)×1 km (y)×1 km (z)のメッシュに切った1000 Ωmの一様な媒質内に傾いた柱状の低比抵抗異常体(1 Ωm)を組み込んだモデルを作成した.そして,ModEMコード(Egbert and Kelbert, 2012; Kelbert et al., 2014)を使用してフォワード計算を行い,地表面または地下におけるMTインピーダンスの分布を周波数ごとに算出した.
斜め柱状低比抵抗異常体の,鉛直方向の長さ・傾斜角度・傾斜方向のパターンを様々に変えて試した結果,傾いた低比抵抗柱の傾斜角度や長さがPOQの出現に影響することが明らかになった.また,POQは傾斜させた側に出現し,傾斜方向によってxy成分またはyx成分のどちらに出現するかが変わる.例えば,斜め低比抵抗柱を西側に傾斜させた場合には,yx成分にのみPOQが発生する.
次に,フォワード計算で求めたインピーダンステンソルから,異常体の周辺における誘導電場を算出した.その分布を詳しく調べると,POQの発生領域における誘導電場には,周囲のベクトルと反転する傾向が見られた.さらに,低比抵抗柱の上端部に電流が吸い込まれ,その下端部から電流が湧き出していることが確認できた.これらの特徴はPOQが出現したモデルに共通していた.
火山の火道は,このような傾いた低比抵抗柱モデルの実例として容易に想像されるもののひとつである.本研究は,火山地域のMT法探査において,火道やその先にあるマグマだまりの位置の推定にPOQが有用な手がかりとなる可能性を示している.