日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 地殻変動

2023年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (11) (オンラインポスター)

コンビーナ:加納 将行(東北大学理学研究科)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、富田 史章(東北大学災害科学国際研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[SGD02-P02] InSARで検出した紀伊半島北部の隆起

*橋本 学1 (1.東京電機大学)

キーワード:地殻変動、SAR、紀伊半島、微小地震活動、三波川変成帯

Yoshida et al.(2011)は,GEONETと水準測量のデータから,紀伊半島北部に隆起域が存在することを示した.しかし,GEONETと水準点の観測点配置が限定されているため,空間分布の解像度は低い.橋本(2020)は,ALOS1/2のデータを解析し,紀伊半島北部の紀ノ川南岸に隆起域が存在することを示した.
しかしながら,この解析結果とGEONETの変位から推定される視線距離変化の一致はよくなく,多くの補正が必要と考えられた.このため,今回RINCを使用し,2014年から2021年半ばまでの北行・南行全てのパスのペアに対し,電離層と対流圏による遅延の補正を施し,干渉処理を行った.さらに,GEONET観測局への変位の合わせ込みを行った.
結果として,南行軌道からの干渉画像には紀ノ川南岸に5mm/yrを越える隆起領域が検出された(図1).この領域は東西30km弱,南北10km程度の楕円形を呈している.この地域に見られる三波川変成帯に重なる,また近傍には浅発微小地震活動域があることなどから,地下の不均質構造が何らかの影響をもたらしていると考えられる.

本研究で用いたPALSAR-2データはPIXEL(PALSAR Interferometry Consortium to Study our Evolving Land surface)において共有しているものであり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とPIXELとの共同研究契約に基づきJAXAから提供されたものである。PALSAR-2データの所有権はJAXAにある。また、本研究は東京大学地震研究所共同利用(2021-B-03)の援助をうけた。

図1.南行軌道(P20-F2930)と北行軌道(P128-F670及びP127-F680)のスタッキング干渉画像から作成した変動速度図.(a)東西成分,(b)上下成分.GEONET河内長野局(950339)に相対的な変位速度を表示.正の値が東向きおよび隆起を示す.○はGEONET観測局で,干渉画像とおなじスケールで変位速度を表示している.