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[SSS07-P07] 石川県珠洲市周辺における群発地震の応力降下量解析
キーワード:群発地震、応力降下、能登半島
石川県能登半島の群発地震は2018年頃から地震回数が増加傾向となり、2020年12月頃から地震活動が活発化した。そして、2022年6月19日にはMJMA5.4の地震が発生した。この群発地震の原因解明のために、能登半島周辺の群発地震活動の研究調査が盛んに行われており、地殻変動[西村ほか, 2022]、震源の移動[平松, 2022; 雨澤ほか, 2022]、電気比抵抗構造[吉村ほか, 2022]、地震波速度構造[Nakajima, 2022; Matsubara et al., 2022]などの結果から地下の流体の存在が示唆されている。
本研究で使用する震源データは気象庁一元化震源データ、波形データは気象庁、防災科学技術研究所Hi-net、東京大学地震観測点、京都大学地震観測点のものである。2018年1月1日〜2022年11月30日までに珠洲市周辺で発生した48地震(3.0≦MJMA≦5.1)を対象とした。震源位置はDouble-Difference法 [Waldhauser and Ellsworth, 2000]を用いて再決定したものを用いた[平松,2022]。
解析手法はYamada et al. [2021]に従い、解析対象地震に近い(距離1 km以内)の地震の波形を経験的グリーン関数(EGF)として用いた。S波の到着後の3つの時間窓[Imanishi and Ellsworth, 2006]で EGF 波形を逆畳み込みし、各観測点における水平2成分の波形について、対象地震のS波の速度スペクトルとEGF地震のS波の速度スペクトルの比を求めた。3つの時間窓から計算されたスペクトル比から、ω2モデルから導かれるスペクトル比との残差の二乗を最小にするコーナー周波数をグリッドサーチで推定した。地震モーメントの値は、F-netのCMT解で地震についてはその値を使用し、それ以外はMJMAがMwと等しいと仮定して、コーナー周波数から応力降下量を計算した[Madariaga, 1976]。各解析対象地震について、応力降下量が推定された全観測点の対数平均値として、応力降下量を求めた。
解析した48地震はすべて、5観測点以上で適切にコーナー周波数が推定されており、S波から推定された応力降下量の平均値は14 MPa(1.4〜68 MPa)であった。今回の解析結果は、地震モーメントとコーナー周波数のスケーリング則(Mo ∝ fC-3)の関係を満たしている。解析対象地域の北西部で発生した地震群の応力降下量には時間変化がみられ、地震活動の変化と関連している可能性がある。応力降下量の空間分布についても、不均質性がみられた。また、クラスター(北、東、南、西)別に詳細に空間分布を検討すると、北クラスター内の応力降下量は、辺縁部で大きい傾向がみられた。これらの時空間分布の詳細についても報告を行う予定である。
本研究の解析にあたっては、気象庁、防災科学技術研究所Hi-netおよびF-net、東京大学地震研究所、京都大学防災研究所のデータを使用しました。また、本研究の実施にあたっては、科学研究費補助金(特別研究促進費22K19949)「能登半島北東部において継続する地震活動に関する総合調査」の一部を使用しました。記して感謝申し上げます。
本研究で使用する震源データは気象庁一元化震源データ、波形データは気象庁、防災科学技術研究所Hi-net、東京大学地震観測点、京都大学地震観測点のものである。2018年1月1日〜2022年11月30日までに珠洲市周辺で発生した48地震(3.0≦MJMA≦5.1)を対象とした。震源位置はDouble-Difference法 [Waldhauser and Ellsworth, 2000]を用いて再決定したものを用いた[平松,2022]。
解析手法はYamada et al. [2021]に従い、解析対象地震に近い(距離1 km以内)の地震の波形を経験的グリーン関数(EGF)として用いた。S波の到着後の3つの時間窓[Imanishi and Ellsworth, 2006]で EGF 波形を逆畳み込みし、各観測点における水平2成分の波形について、対象地震のS波の速度スペクトルとEGF地震のS波の速度スペクトルの比を求めた。3つの時間窓から計算されたスペクトル比から、ω2モデルから導かれるスペクトル比との残差の二乗を最小にするコーナー周波数をグリッドサーチで推定した。地震モーメントの値は、F-netのCMT解で地震についてはその値を使用し、それ以外はMJMAがMwと等しいと仮定して、コーナー周波数から応力降下量を計算した[Madariaga, 1976]。各解析対象地震について、応力降下量が推定された全観測点の対数平均値として、応力降下量を求めた。
解析した48地震はすべて、5観測点以上で適切にコーナー周波数が推定されており、S波から推定された応力降下量の平均値は14 MPa(1.4〜68 MPa)であった。今回の解析結果は、地震モーメントとコーナー周波数のスケーリング則(Mo ∝ fC-3)の関係を満たしている。解析対象地域の北西部で発生した地震群の応力降下量には時間変化がみられ、地震活動の変化と関連している可能性がある。応力降下量の空間分布についても、不均質性がみられた。また、クラスター(北、東、南、西)別に詳細に空間分布を検討すると、北クラスター内の応力降下量は、辺縁部で大きい傾向がみられた。これらの時空間分布の詳細についても報告を行う予定である。
本研究の解析にあたっては、気象庁、防災科学技術研究所Hi-netおよびF-net、東京大学地震研究所、京都大学防災研究所のデータを使用しました。また、本研究の実施にあたっては、科学研究費補助金(特別研究促進費22K19949)「能登半島北東部において継続する地震活動に関する総合調査」の一部を使用しました。記して感謝申し上げます。