日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT40] 空中からの地球計測とモニタリング

2023年5月24日(水) 13:45 〜 15:00 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小山 崇夫(東京大学地震研究所)、楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、座長:小山 崇夫(東京大学地震研究所)、楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

14:45 〜 15:00

[STT40-05] 無人航空機搭載用Multi-GASによる噴煙組成観測

★招待講演

*森田 雅明1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:Multi-GAS、噴煙組成、無人航空機

火山ガス組成は,マグマ脱ガスとその後のマグマ・熱水系での反応を反映する.火山ガス組成の測定は,火山ガス供給系やその活動にともなう変動を理解するために不可欠である.火山ガス組成変動をモニタリングするために,噴気ガスのサンプリングが行われてきたが,対象はアクセス可能な噴気孔に限られていた.近年,複数のガスセンサーを用いた噴煙組成のその場測定装置(Multi-GAS:Shinohara, 2005, JVGR; Aiuppa et al., 2005, GRL)が開発され,観測対象がアクセス困難な噴気にも拡張された.さらに,ガスセンサー,電池,データロガーを最小限にした小型・軽量なMulti-GASが開発され,無人航空機(UAS)に搭載されることで,火口へのアクセスが制限されている火山や噴火によりアクセスできない火山で運用されている(Mori et al., 2016, EPS; Rüdiger et al., 2018, AMT; Stix et al., 2018, JGR; Liu et al., 2018, G-cubed).
Multi-GAS測定では,複数のガスセンサーによる周囲の大気に対する各ガス成分の濃度変化を検出する.濃度変化の相関関係から,各成分の濃度比により組成を算出する.現状では,UASのペイロードと搭載するガスセンサーの種類や精度(S/N比)を状況に応じてバランスさせる必要がる.本研究では,産業用の小型UASに搭載可能かつ,火山ガスの主要成分の濃度を網羅的かつ高精度に測定できるMulti-GASを試作した(森田・森, 2021, JpGU Meeting).2021年に阿蘇火山で試験を行い,産業用小型UAS(DJI Matrice 200 V2)を用いてCO2,SO2,H2S,H2O,H2の噴煙組成を測定した.本発表では,最初の試験後の改良点や,霧島硫黄山における飛行試験の結果を紹介する.