日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC29] 火山噴火のダイナミクスと素過程

2023年5月25日(木) 09:00 〜 10:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:新谷 直己(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、並木 敦子(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻)、田中 良(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)、村松 弾(東京大学地震研究所)、座長:新谷 直己(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、村松 弾(東京大学地震研究所)


09:00 〜 09:15

[SVC29-01] 霧島硫黄山南火口群における表面活動の長期的変化

*村松 弾1松島 健2長妻 努3村田 健史3西村 太志4畑 誠斗4田辺 暖柊5 (1.東京大学地震研究所、2.九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター、3.情報通信研究機構レジリエントICT研究センター、4.東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻、5.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻)

キーワード:霧島硫黄山、空振、熱水活動

霧島硫黄山の南火口群では,2018年の水蒸気噴火以降活発な熱水・噴気活動が続いており,現在Y2a,Y2b,Y3の主に3つの噴出孔が活動している.最も活発なY2aでは湯だまりの形成とドライアップを長期的に繰り返しており,湯だまり期は熱水を噴水状に吹き上げる噴湯現象,渇水期は噴気活動が見られる.南火口群における表面活動の長期的変化を調べるため,空振(音波)・地震・映像観測とその解析を行った.空振と地震は硫黄山周辺に展開している九大臨時観測点のデータを使用し,映像は情報通信研究機構(NICT)が中心となって2022年9月より運用している監視カメラのデータを参照した.まず,空振のスペクトログラムとカメラ映像の比較より,噴湯現象に伴う卓越周波数~2 Hzの空振シグナルを確認した.2022年10月中旬以降,空振の2 Hzピークは消長を繰り返しており,火口における湯だまり形成と消失を反映していると考えられる.また,湯だまりが消失する前に,スペクトルピークが時間とともに上昇する現象(Gliding)が見られた.空振スペクトルのGlidingはマグマ噴火においていくつかの報告例があり,メカニズムを考えるうえで重要な情報になる.次に空振・地震のRMS振幅の時間変化とスペクトログラムを比較したところ,11月下旬に地震振幅の有意な増大が見られた.これはY2b内の新噴出孔形成に対応した活動と考えられる.これらの観測結果をもとに,①表面活動の長期的変化と火山活動との関係および②噴湯現象に伴う空振シグナルのメカニズムについて考察する.