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[SVC31-P05] 精密水準測量によって検出された浅間火山の地殻変動(2005-2022)
キーワード:浅間火山、精密水準測量、地殻変動
浅間山では、山体の近傍で行われた水準測量データが1902年~現在まで蓄積されており、長期間にわたる上下変動と火山活動の比較ができる貴重な火山である。水準測量によって得られた上下変動からは、山体西側と山頂直下に球状圧力源が推定されている(宮崎,1990)。また、2004年の中規模噴火では、山頂から西側に向って線状に分布する地震活動が見られ(Takeo et al., 2006)、GNSSデータからも山体の西部に東西走行のダイクの貫入が推定されている(青木・他,2005)。
既存の水準路線には、2004年噴火時にダイクが推定された山体西部に十分な水準点がなかったため、2005年に信濃追分から車坂峠に至る水準路線(車坂路線)を設置し、ほぼ1年毎に測定を続けてきている。昨年2022年6月18~25日にも再測量を行い、車坂路線での最近の変動(2021~2022)と17年間の変動(2005~2022年)を報告する。また、これまでに浅間山で蓄積された水準データを用い、約百年間(1902~2022年)の上下変動についても議論する。
前回測定の2021年11月から今回の2022年6月の約半年の期間において、山体南西部(水準点BM801)を基準として、車坂峠に向かう沈降が観測された。最大の沈降量は、車坂路線北部のBM827での約7㎜の沈降であった。
車坂路線における2005~2022年の測量から検出された上下変動の時間変化をみると、2005年から2009年までは変化が小さく、2009年から2015年までは大きな沈下が見られた。そして、2015年から2017年にかけては短期的に隆起し、2017年から2022年にかけては再び沈下した。浅間山では2009年および2015年に小規模な噴火が起こっており、噴火を含む活動が活発な時期には隆起もしくは停滞、比較的静穏な時期には沈降という関係がみられる。
次に1902年から浅間山で蓄積されている水準測量データを使い、より長い期間での浅間山の地殻変動と火山活動の関係を考察する。Murase et al. (2007)では、1902 ~2005年に取得された水準測量データを使用して、山頂直下と南西部の2つの球状圧力源の体積時間変化を推定している。今回、Murase et al. (2007)で使用したデータに加え、2005~2022年の車坂路線の結果、1985~1989の山体北東部の路線の結果(小山・他、1990)、2005~2010年の国土地理院の一等水準成果を加え、2つの球状圧力源位置の再推定と、1902 ~2022年の期間での体積時間変化の推定を行った。
新たなデータを加えることにより、Murase et al. (2007)では山体の南西部海抜下約6.5㎞に推定されていた深い球状圧力源の位置は、山体西部海抜下約7.5㎞となった。また、時間変化では、2004年の中規模噴火以降に体積減少が継続していることが推定された。
既存の水準路線には、2004年噴火時にダイクが推定された山体西部に十分な水準点がなかったため、2005年に信濃追分から車坂峠に至る水準路線(車坂路線)を設置し、ほぼ1年毎に測定を続けてきている。昨年2022年6月18~25日にも再測量を行い、車坂路線での最近の変動(2021~2022)と17年間の変動(2005~2022年)を報告する。また、これまでに浅間山で蓄積された水準データを用い、約百年間(1902~2022年)の上下変動についても議論する。
前回測定の2021年11月から今回の2022年6月の約半年の期間において、山体南西部(水準点BM801)を基準として、車坂峠に向かう沈降が観測された。最大の沈降量は、車坂路線北部のBM827での約7㎜の沈降であった。
車坂路線における2005~2022年の測量から検出された上下変動の時間変化をみると、2005年から2009年までは変化が小さく、2009年から2015年までは大きな沈下が見られた。そして、2015年から2017年にかけては短期的に隆起し、2017年から2022年にかけては再び沈下した。浅間山では2009年および2015年に小規模な噴火が起こっており、噴火を含む活動が活発な時期には隆起もしくは停滞、比較的静穏な時期には沈降という関係がみられる。
次に1902年から浅間山で蓄積されている水準測量データを使い、より長い期間での浅間山の地殻変動と火山活動の関係を考察する。Murase et al. (2007)では、1902 ~2005年に取得された水準測量データを使用して、山頂直下と南西部の2つの球状圧力源の体積時間変化を推定している。今回、Murase et al. (2007)で使用したデータに加え、2005~2022年の車坂路線の結果、1985~1989の山体北東部の路線の結果(小山・他、1990)、2005~2010年の国土地理院の一等水準成果を加え、2つの球状圧力源位置の再推定と、1902 ~2022年の期間での体積時間変化の推定を行った。
新たなデータを加えることにより、Murase et al. (2007)では山体の南西部海抜下約6.5㎞に推定されていた深い球状圧力源の位置は、山体西部海抜下約7.5㎞となった。また、時間変化では、2004年の中規模噴火以降に体積減少が継続していることが推定された。