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[SVC31-P11] 稠密地震観測の微動記録を用いた八丈島の3次元S波速度構造の推定
キーワード:八丈島、稠密地震観測、微動、S波速度構造
火山災害の防災・減災対策を講じるためには,観測データから噴火の前兆を捉え噴火警報等を適確に伝達することが重要である.観測データを正しく解釈するためには,事前に地下の状態を把握していることが不可欠となる.八丈島では24時間体制で火山活動が常時観測・監視されているが,地下構造に関する研究は少なく,地下構造が十分な解像度で明らかになっていない.そこで本研究では,八丈島において実施された稠密地震観測の微動記録を用いて八丈島の3次元S波速度構造の推定を行なった.
解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島で行われた臨時稠密地震観測の微動記録を使用した.まず44観測点を組み合わせた946組の観測点ペアに対して,各観測点の微動記録から相互相関関数を計算して観測点間を伝播する波動場を得た.波動場の正負の対称性から微動の等方性を確認した.次に各観測点を中心に西山では半径1.5km,東山では半径3.5kmの範囲にある観測点を用いて拡張SPAC法により分散曲線を求め,その観測点のレイリー波の分散曲線を推定した.得られた分散曲線を用いて1次元S波速度構造を焼きなまし法によるインバージョンによって推定した.最後に1次元S波速度構造を空間方向に補間し,八丈島の3次元S波速度構造を推定した.
その結果,既往の研究より空間方向に高解像度な,深さ4kmまでの3次元S波速度構造が得られた.深さ0.5kmのS波速度構造は,東山に比べ西山は低速度であり地質構造と整合的であった.西山と東山間の平野部ではVs=1.5km/secの等速度面が深さ1.5-2kmまで見られ,周辺に比べて低速度域が深部まで連続していた.西山の南東部から東山においては,Vs=1.5km/secの等速度面は新第三紀層の上面に対応が見られた.また西山直下から西山北西側にかけて高速度の領域を観測した.西山直下深さ2-5km に存在する高速度域は既往の研究で示されている西山直下のP波高速度域と一致していた.
解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島で行われた臨時稠密地震観測の微動記録を使用した.まず44観測点を組み合わせた946組の観測点ペアに対して,各観測点の微動記録から相互相関関数を計算して観測点間を伝播する波動場を得た.波動場の正負の対称性から微動の等方性を確認した.次に各観測点を中心に西山では半径1.5km,東山では半径3.5kmの範囲にある観測点を用いて拡張SPAC法により分散曲線を求め,その観測点のレイリー波の分散曲線を推定した.得られた分散曲線を用いて1次元S波速度構造を焼きなまし法によるインバージョンによって推定した.最後に1次元S波速度構造を空間方向に補間し,八丈島の3次元S波速度構造を推定した.
その結果,既往の研究より空間方向に高解像度な,深さ4kmまでの3次元S波速度構造が得られた.深さ0.5kmのS波速度構造は,東山に比べ西山は低速度であり地質構造と整合的であった.西山と東山間の平野部ではVs=1.5km/secの等速度面が深さ1.5-2kmまで見られ,周辺に比べて低速度域が深部まで連続していた.西山の南東部から東山においては,Vs=1.5km/secの等速度面は新第三紀層の上面に対応が見られた.また西山直下から西山北西側にかけて高速度の領域を観測した.西山直下深さ2-5km に存在する高速度域は既往の研究で示されている西山直下のP波高速度域と一致していた.