日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC31] 活動的火山

2023年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (16) (オンラインポスター)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、松島 健(九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/22 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[SVC31-P17] 全国の活火山における干渉SAR解析結果と変動要因に関する考察

*影山 勇雄安藤 忍1 (1.気象研究所)

キーワード:活火山、干渉S、ALOS-2

これまで著者らは全国の活火山のうち91火山の干渉SAR解析結果を包括的に報告してきたが(例えば,影山ほか2018,谷口ほか2019),個々の火山で確認された変動と変動要因に関する詳細な考察は不十分であった.そこで,2014年から2018年にALOS-2で観測され,気象庁にて解析された干渉SAR解析画像について再判読を行い,個々の火山で解析された変動と当時の火山活動を改めて整理し,各火山に共通した変動要因の推定を試みた.
本研究では,第138〜143回の火山噴火予知連絡会資料とJPGU2018および2019の発表資料を使用した.各々の資料に掲載された解析結果は,RINC(Ozawa et al, 2016)を使用し,対流圏遅延および電離圏遅延の軽減は実施していない.このため,解析精度は一般的に言われている数cm程度と仮定し,各火山の解析結果から目視で変動領域を抽出し,最大変位について判読した.また,位相変化が検出された画像については,観測データのペア期間は様々であるため,当該期間において一定の速度で変動が継続していたと仮定し,変動速度も計算した.
衛星視線方向短縮の位相変化が認められた火山(雌阿寒岳,吾妻山,焼岳,えびの高原(硫黄山))では,変動領域は約0.1-26.2km2,最大変位は約2-11cm,変動速度は約1-156cm/yearで分布していた.これらの項目間に顕著な相関関係は見られなかったが,変動速度のばらつきは大きく,小噴火に至った火山(例えば2018年4月のえびの高原(硫黄山))の変動速度は100cm/yearを超えるものであった.一方,噴火に至っていない火山(例えば吾妻山)では十数cm/year程度であった.
衛星視線方向伸長の位相変化が認められた火山(有珠山,御嶽山,箱根山,三宅島,雲仙岳)では,変動領域は約0.1-11.1km2,最大変位は約4-30cm,変動速度は約1-68cm/yearで分布しており,変動領域と最大変位及び変動速度に負の相関関係が見られた.このことから,衛星視線方向伸長の変動をもたらす要因には何らかの共通した要因が存在する可能性が考えられる.