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[SVC32-01] 近接空撮画像と航空レーザー計測点群を用いた富士山1707年宝永噴火の火口近傍堆積物の層序と形成過程
キーワード:宝永山、赤岩、火山地質、地形分析、UAV
1707年富士山宝永噴火を起こした火口は、これまで南東山腹にある火口列(宝永第1〜第3火口)とされ、その脇にある宝永山とその山頂付近に露出する黄褐色の凝灰角礫岩(赤岩)は噴火中のマグマの突き上げによって古い地層(古富士火山の一部)が隆起したものと解釈されていたが、その証拠は不十分かつ疑問点もあった。今回、野外地質調査に加えてUAVによる近接航空写真撮影とそのフォトグラメトリ分析や、航空レーザー測量によって得られた高密度点群データ(VIRTUAL SHIZUOKA)にもとづく地形分析も実施した結果、宝永噴火の火口近傍堆積物がつくる地形・層序と、それらを形成した噴火の詳細な過程を、給源火口の移動も含めて明らかにすることができた。以上の予察的な報告はすでに行っていたが(小山,2019,JpGU)、今回さらなる分析と考察を加えて大幅に増補・修正した結果の概要を報告する。詳細については小山(2023,富士山学3号,静岡県富士山世界遺産センター)を参照してほしい。
1.馬場ほか(2022,火山)による宝永火口近傍堆積物の層序区分(Unit 1〜9)と各ユニットの分布を見直し、新たにUnit 6A〜6Cの区分を設けた。
2.宝永山とその山頂部に分布するUnit 7の北方向・南西方向への岩相変化を明らかにした上で、宝永山が宝永噴火で放出された火砕物が降り積もってできたことや、赤岩が熱水活動の産物であることを改めて裏付けた。
3.Unit 6Bの堆積構造を明らかにし、Unit 6A〜8の給源火口が第1火口底にあること、Unit 8が第1火口内壁の東部にへばりつくように堆積したことを明らかにした。
4.Unit 5〜2がつくる地形や分布を再検討し、それぞれの給源火口位置や噴火順序を推定した。その結果、噴火初期の白色軽石を含むUnit 2ならびにUnit 5の給源火口を、第2・第3火口の東に隣接した御殿庭東火口と推定した。
1.馬場ほか(2022,火山)による宝永火口近傍堆積物の層序区分(Unit 1〜9)と各ユニットの分布を見直し、新たにUnit 6A〜6Cの区分を設けた。
2.宝永山とその山頂部に分布するUnit 7の北方向・南西方向への岩相変化を明らかにした上で、宝永山が宝永噴火で放出された火砕物が降り積もってできたことや、赤岩が熱水活動の産物であることを改めて裏付けた。
3.Unit 6Bの堆積構造を明らかにし、Unit 6A〜8の給源火口が第1火口底にあること、Unit 8が第1火口内壁の東部にへばりつくように堆積したことを明らかにした。
4.Unit 5〜2がつくる地形や分布を再検討し、それぞれの給源火口位置や噴火順序を推定した。その結果、噴火初期の白色軽石を含むUnit 2ならびにUnit 5の給源火口を、第2・第3火口の東に隣接した御殿庭東火口と推定した。