15:00 〜 15:15
[U10-06] 人新世のリスク:環境・都市・社会
現代は、世界の人口の半分以上が 都市部に住んでいます。国連の予測によれば2030年には1000万人都市が43都市に増えるとされています。現代は、まさに、都市が地球上で急激に拡大する時代です。そして、都市をめぐる社会と環境がグローバル・ローカルに複雑に絡み合いながら大きく変革する時代です。
南極半島における氷床融解や棚氷の大規模崩壊が注目されてきましたが、実は東南極の沿岸域でも大陸氷床の融解が起こっていることが最近指摘されています。東南極の氷床融解の解明は気候変動や海水準変動を予測する上で重要となっています。南極大陸に限らず、温暖化や気候変動、例えば豪雨の増加や逆に干ばつの増加、熱波などによる人類社会への影響が危惧されています。
自然災害はリスク要因の視点から二つに区分できます。ひとつは人新世における気候変動のようにリスク要因の頻度や規模が大きくなるものです。台風・豪雨・干ばつ・熱波の増加や規模拡大などは人類社会の自然災害リスクを高めています。特に、都市においては社会(人口、人口構成、人口集中、経済、インフラ、医療体制、水環境・水源、エネルギー、自然環境など)が変化することと相まって気候変動によるリスクが急激に増大しています。例えば、パラグアイの首都アスンシオンでは夏期におけるヒートアイランド現象が例年見られますが、2021年初夏には異常気象による干ばつの影響で植生が減少し、通常のヒートアイランド域をはるかに超える広域で地表面の高温状態が観測されました。
もう一つは、巨大地震や火山噴火のように発生頻度は高くなく、また、起こりやすさ(発生確率)が人新世においても変わらない自然現象です。これらの現象の発生確率は変わらないものの人口増加や都市拡大によって事態が発生した場合の損害は大きくなっています。巨大地震や火山噴火によるリスクは、人間社会の環境やシステムの状況によって変化するものなので、社会構造やインフラなどの変化によってリスクは時代とともに変化します。例えば、1923年の関東地震時に比べ、神奈川県の人口は約140万人から約900万人へ増加した上に、丹沢山地は神奈川の水がめとしての役割が著しく増大しています。これは1923年の関東地震当時とは大きく異なる環境・都市・社会の状況です。すなわち、1923年の関東地震時と同様の大規模な斜面崩壊が発生した場合、神奈川の水源地を脆弱化させるという被災可能性が極度に増していることに他なりません。現在の日本は人新世を超高齢化社会・人口減少で迎えていますが、世界の人口は現在、約80億人に達し、人新世を人口増加の時代として迎えています。人口の増加には、高い出生率と寿命の増加などの要因があります。世界の多くの地域では、高い出生率が続いています。特に、開発途上国では出生率が高く、そのため人口増加率も高い傾向にあります。そのために、開発途上国の都市においては人口集中によって被災リスクが高いエリアへ市街地が拡大しています。例えば、コンゴ民主共和国では非常に活発な火山に向かって市街地が急拡大しています。
ここでは人新世のリスクを環境・都市・社会などの複眼的視点から議論を行います。
南極半島における氷床融解や棚氷の大規模崩壊が注目されてきましたが、実は東南極の沿岸域でも大陸氷床の融解が起こっていることが最近指摘されています。東南極の氷床融解の解明は気候変動や海水準変動を予測する上で重要となっています。南極大陸に限らず、温暖化や気候変動、例えば豪雨の増加や逆に干ばつの増加、熱波などによる人類社会への影響が危惧されています。
自然災害はリスク要因の視点から二つに区分できます。ひとつは人新世における気候変動のようにリスク要因の頻度や規模が大きくなるものです。台風・豪雨・干ばつ・熱波の増加や規模拡大などは人類社会の自然災害リスクを高めています。特に、都市においては社会(人口、人口構成、人口集中、経済、インフラ、医療体制、水環境・水源、エネルギー、自然環境など)が変化することと相まって気候変動によるリスクが急激に増大しています。例えば、パラグアイの首都アスンシオンでは夏期におけるヒートアイランド現象が例年見られますが、2021年初夏には異常気象による干ばつの影響で植生が減少し、通常のヒートアイランド域をはるかに超える広域で地表面の高温状態が観測されました。
もう一つは、巨大地震や火山噴火のように発生頻度は高くなく、また、起こりやすさ(発生確率)が人新世においても変わらない自然現象です。これらの現象の発生確率は変わらないものの人口増加や都市拡大によって事態が発生した場合の損害は大きくなっています。巨大地震や火山噴火によるリスクは、人間社会の環境やシステムの状況によって変化するものなので、社会構造やインフラなどの変化によってリスクは時代とともに変化します。例えば、1923年の関東地震時に比べ、神奈川県の人口は約140万人から約900万人へ増加した上に、丹沢山地は神奈川の水がめとしての役割が著しく増大しています。これは1923年の関東地震当時とは大きく異なる環境・都市・社会の状況です。すなわち、1923年の関東地震時と同様の大規模な斜面崩壊が発生した場合、神奈川の水源地を脆弱化させるという被災可能性が極度に増していることに他なりません。現在の日本は人新世を超高齢化社会・人口減少で迎えていますが、世界の人口は現在、約80億人に達し、人新世を人口増加の時代として迎えています。人口の増加には、高い出生率と寿命の増加などの要因があります。世界の多くの地域では、高い出生率が続いています。特に、開発途上国では出生率が高く、そのため人口増加率も高い傾向にあります。そのために、開発途上国の都市においては人口集中によって被災リスクが高いエリアへ市街地が拡大しています。例えば、コンゴ民主共和国では非常に活発な火山に向かって市街地が急拡大しています。
ここでは人新世のリスクを環境・都市・社会などの複眼的視点から議論を行います。