10:45 〜 11:00
[AAS07-01] 熱帯中緯度境界線とジェット気流の南北移動が日本の春季降雨に与える影響

キーワード:熱帯中緯度境界、水温前線、偏西風ジェット気流
熱帯と中緯度の大気では、それぞれ温度勾配が緩やかな弱温度勾配系と、コリオリ力と気圧傾度力がほぼ釣り合う準地衡風系という、異なる物理プロセスに大規模場が拘束されて存在している。この二つの異なる方程式系を同時に成り立たせるために、熱帯と中緯度の境界には空間スケールの小さい現象が必要となる。そこで本研究では、特に北半球において、熱帯と中緯度の境界における大気のふるまいを調べた。特に、ジェット気流と降水に注目する。
まず、温度勾配の緩やかな熱帯領域の北縁として、500hPa面における5800 m高度線を熱帯中緯度境界線として定義した。次に、空間スケールの小さい渦を供給できる現象の候補として、中緯度で南北に上下する偏西風ジェット気流の強風軸の線に着目し、熱帯中緯度境界線との位置関係を調べた。
ジェット気流と熱帯中緯度境界線の緯度差の平均を計算したところ、ほとんどの季節においてジェット気流が熱帯中緯度境界線付近を流れることが示された。ただし、水温前線が熱帯中緯度境界線付近に存在する季節に限り、偏西風ジェット気流は水温前線上に引っ掛けられ、一時的に熱帯中緯度境界線から離れる。
特に4月に注目すると、ジェット気流が北回りの流路をとる度合いは経年変動が見られ、ジェット気流が北上する年では、日本で降水量が増加することが示された。また、コンポジット解析により、海面熱フラックス、特に潜熱が多い時、ジェット気流の流路が大幅に北回りになることが示された。
まず、温度勾配の緩やかな熱帯領域の北縁として、500hPa面における5800 m高度線を熱帯中緯度境界線として定義した。次に、空間スケールの小さい渦を供給できる現象の候補として、中緯度で南北に上下する偏西風ジェット気流の強風軸の線に着目し、熱帯中緯度境界線との位置関係を調べた。
ジェット気流と熱帯中緯度境界線の緯度差の平均を計算したところ、ほとんどの季節においてジェット気流が熱帯中緯度境界線付近を流れることが示された。ただし、水温前線が熱帯中緯度境界線付近に存在する季節に限り、偏西風ジェット気流は水温前線上に引っ掛けられ、一時的に熱帯中緯度境界線から離れる。
特に4月に注目すると、ジェット気流が北回りの流路をとる度合いは経年変動が見られ、ジェット気流が北上する年では、日本で降水量が増加することが示された。また、コンポジット解析により、海面熱フラックス、特に潜熱が多い時、ジェット気流の流路が大幅に北回りになることが示された。