[A-CG32] 中緯度大気海洋相互作用

[ACG32-07] 高解像度海洋再解析にみられる北太平洋域における海洋中規模渦の大気–海洋熱交換に対する影響

★招待講演

*宮地 友麻¹、木戸 晶一郎²、富田 裕之¹、谷本 陽一^1,2 (1.北海道大学大学院環境科学院/地球環境科学研究院、2.海洋研究開発機構)

キーワード：海洋中規模渦、大気海洋相互作用、海面熱フラックス、大気海洋熱交換

近年、衛星観測や高解像度海洋・気候モデリングの発展により、海洋中規模渦の重要性がますます認識されるようになってきた。しかしながら、中緯度における大気海洋相互作用の全体像を明らかにするために、大気と海洋の熱交換において海洋中規模渦が果たす役割に対する、さらなる包括的かつ定量的な理解が必要である。本研究は渦解像海洋再解析データ(JCOPE-FGO)を解析し、海洋中規模渦が大気–海洋間の熱交換に与える影響について、北太平洋域に焦点を当てて調べた。まず、従来のラグランジュ的方法ではなく、各格子点における曲率渦度を基にしたオイラー的手法で、1993-2021の間の北太平洋における中規模渦を検出した(図1a)。抽出された高気圧(低気圧)回転を示すグリッドは、85%以上の精度で気候値に対する正(負)の海面水温偏差を示した。またコンポジットされた水温偏差は、暖水渦・冷水渦の特徴的な水平・鉛直分布を適切に再現した(海面から亜表層の間でコアを中心に広がるレンズ型の水温偏差; 図1b, c)。中規模渦のある場合とない場合の平均場の比較により、冷水渦(暖水渦)上の下向き(上向き)の海面熱交換偏差は海洋熱吸収を増加(減少)させ、中部北太平洋では年平均の海洋熱吸収に対して最大20%寄与する事が示された。