17:15 〜 18:45
[ACG32-P16] 高解像度モデリングに基づく粒子追跡法を用いた北太平洋中層循環の経路推定

キーワード:渦解像モデル、北太平洋中層水、粒子追跡
北太平洋中緯度に広く分布する北太平洋中層水を形成・輸送する北太平洋中層循環は、大気から吸収した二酸化炭素や栄養塩などの溶存物質を海洋内部へ運ぶ重要な循環であり、気候変動や生物生産に大きな役割を果たしていると考えられている。しかし、表層水が中層水となる経路や変質過程およびその時間スケールについては不明な点が多く残されている。また、潮汐起源の鉛直混合によって中層循環から深層循環に熱が運ばれ、深層循環に大きな影響を与えるという指摘があるが、中層循環が深層循環の経路や流量に与える影響や深層水の中層への輸送過程といった中層と深層のつながりについては十分にはわかっていない。北太平洋中層水の輸送には渦が重要な役割を果たすことが示されており、北太平洋中層循環をモデリングで明らかにするためには渦運動を解像する必要がある。本研究では、渦解像海洋大循環モデルを用いて北太平洋中層循環の三次元構造を明らかにすることを目的とする。モデルで得られた高時空間解像度の流速場に対して、仮想の粒子を流す粒子追跡手法を適用し、中層循環の経路や時間スケールを定量的に解析する。
使用した海洋大循環モデルは水平解像度を全球1/4度、ただし北太平洋部分は1/12度としたネストモデルである。水温・塩分の観測気候値(WOA18)を初期値とし、大気再解析データ(JRA55-do)を海面境界条件に適用している。このモデルを50年間積分して得られた流速や拡散係数を粒子追跡モデルに適用した。北太平洋全域の表層に仮想粒子を配置し、30年間追跡後に北太平洋中層水の密度層にいる粒子を抽出することで、逆追跡解析を行った。
30年後に中層に存在した粒子のうち、最初に亜寒帯循環が存在する北緯40度以北に配置された粒子の位置を図に示す。色は粒子の深さを示し、順に0年(追跡開始時)、10年、20年、30年でのスナップショットである。10年、20年の結果を見ると、亜寒帯循環に乗ってオホーツク海やベーリング海に運ばれた粒子が400m付近の深さまで沈み込み、南下して主に黒潮続流域でより深い層へ入っていることがわかる。これらの粒子は亜熱帯循環によって中緯度を東方へ広がっていく。一部の粒子については、亜寒帯域の東から東岸境界流によって亜熱帯域へ運ばれ、亜熱帯循環に乗りながら北太平洋中層水の層まで徐々に深くなる様子が見られる。発表当日は、図示した結果を含めて、北太平洋中層循環の経路やその経路を決めるプロセス、および表層から中層に至る時間スケールについて詳しく報告する。
使用した海洋大循環モデルは水平解像度を全球1/4度、ただし北太平洋部分は1/12度としたネストモデルである。水温・塩分の観測気候値(WOA18)を初期値とし、大気再解析データ(JRA55-do)を海面境界条件に適用している。このモデルを50年間積分して得られた流速や拡散係数を粒子追跡モデルに適用した。北太平洋全域の表層に仮想粒子を配置し、30年間追跡後に北太平洋中層水の密度層にいる粒子を抽出することで、逆追跡解析を行った。
30年後に中層に存在した粒子のうち、最初に亜寒帯循環が存在する北緯40度以北に配置された粒子の位置を図に示す。色は粒子の深さを示し、順に0年(追跡開始時)、10年、20年、30年でのスナップショットである。10年、20年の結果を見ると、亜寒帯循環に乗ってオホーツク海やベーリング海に運ばれた粒子が400m付近の深さまで沈み込み、南下して主に黒潮続流域でより深い層へ入っていることがわかる。これらの粒子は亜熱帯循環によって中緯度を東方へ広がっていく。一部の粒子については、亜寒帯域の東から東岸境界流によって亜熱帯域へ運ばれ、亜熱帯循環に乗りながら北太平洋中層水の層まで徐々に深くなる様子が見られる。発表当日は、図示した結果を含めて、北太平洋中層循環の経路やその経路を決めるプロセス、および表層から中層に至る時間スケールについて詳しく報告する。
