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[ACG33-04] オーストラリアモンスーンによるMJOの東進・振幅・テレコネクションの変調
マッデン・ジュリアン振動(MJO)は,しばしばその背景にあるより長周期の変動による変調を受ける。本研究は,夏季オーストラリアモンスーン(AUSM)の経年変動が,そのようなMJOを変調する長周期変動の一つであることを示す。AUSMの弱い(強い)年には,MJOの振幅が有意に増大(低下)し,海洋大陸から西太平洋への東進が明瞭(不明瞭)となる傾向にある。このAUSM―MJO間にみられる関係のメカニズムを,湿潤静的エネルギー収支解析によって調査する。AUSMの弱い(強い)年には,オーストラリア大陸上の乾燥した(湿った)大気が,その北東海上の水蒸気勾配を強める(弱める)。背景場の強い(弱い)水蒸気勾配は,MJOに伴う対流活動偏差が北オーストラリアに到達したとき,西太平洋上の水蒸気移流の強化(弱化)をもたらし,東進を促進(抑制)する。AUSMの弱い年のより持続的なMJOの東進は,より強いMJOの振幅をもたらす。また,このAUSMの季節的な強弱に応じたMJOの変調は,東アジアや北米など北半球中高緯度における春先の気温や降水量の季節内変動にも影響を与える。