日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG33] Multi-scale ocean-atmosphere interaction in the tropics

2024年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Richter Ingo(JAMSTEC Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、小坂 優(東京大学先端科学技術研究センター)、林 未知也(国立研究開発法人国立環境研究所)、東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、Chairperson:Ingo Richter(JAMSTEC Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)、林 未知也(国立研究開発法人国立環境研究所)

14:30 〜 14:45

[ACG33-04] オーストラリアモンスーンによるMJOの東進・振幅・テレコネクションの変調

*関澤 偲温1,2中村 尚2小坂 優2 (1.気象庁気象研究所、2.東京大学先端科学技術研究センター)

マッデン・ジュリアン振動(MJO)は,しばしばその背景にあるより長周期の変動による変調を受ける。本研究は,夏季オーストラリアモンスーン(AUSM)の経年変動が,そのようなMJOを変調する長周期変動の一つであることを示す。AUSMの弱い(強い)年には,MJOの振幅が有意に増大(低下)し,海洋大陸から西太平洋への東進が明瞭(不明瞭)となる傾向にある。このAUSM―MJO間にみられる関係のメカニズムを,湿潤静的エネルギー収支解析によって調査する。AUSMの弱い(強い)年には,オーストラリア大陸上の乾燥した(湿った)大気が,その北東海上の水蒸気勾配を強める(弱める)。背景場の強い(弱い)水蒸気勾配は,MJOに伴う対流活動偏差が北オーストラリアに到達したとき,西太平洋上の水蒸気移流の強化(弱化)をもたらし,東進を促進(抑制)する。AUSMの弱い年のより持続的なMJOの東進は,より強いMJOの振幅をもたらす。また,このAUSMの季節的な強弱に応じたMJOの変調は,東アジアや北米など北半球中高緯度における春先の気温や降水量の季節内変動にも影響を与える。